クレアチンのローディングとは?必要か不要かを最新研究で徹底解説

クレアチンのローディングとは?必要か不要かを最新研究で徹底解説

「最初の1週間は1日20g飲め」と書いてある記事もあれば、「ローディングは不要、最初から3〜5gでいい」という記事もある。クレアチンを始めようとした人なら、一度はこの矛盾にぶつかったはずです。

正直に言うと、私も初めてのローディングでは1日20gを甘く見ていました。5gずつ4回に分けるのが面倒で、朝と夜の2回にまとめて飲んだ結果、お腹を壊しました。「これが正しいやり方なのか?」と本気で疑いました。

でも、この方法には確かな根拠があります。1996年の研究で筋肉中のクレアチン濃度が6日間で約20%上昇することが実証され(Hultman et al., 1996)、2024年の143件のRCTを統合したメタアナリシスでもクレアチン摂取によって除脂肪量が平均0.82kg増加することが確認されています(Pashayee-Khamene et al., 2024)。一方で、ローディングなしでも最終的に到達する濃度は同じ。違いは1週間で到達するか、4週間かかるかだけです。この記事では、自分にとってローディングが本当に必要かどうか、研究データと私自身の失敗経験をもとに判断できるようにします。

※ローディングの前に、クレアチンの効果や基本情報をおさらいしたい方は、先に クレアチンとは? | エビデンス最強のサプリメント をご覧ください。

クレアチンのローディングとは

ローディングの基本

クレアチンのローディング(Loading Phase)とは、摂取初期に通常より多い量のクレアチンを短期間で集中的に摂取し、筋肉内のクレアチン濃度を素早く飽和レベルまで引き上げる方法です。

  • 摂取量:1日20g(5g×4回に分割)
  • 期間:5〜7日間
  • その後:メンテナンス摂取(1日3〜5g)に移行

ちなみに、1日20gのクレアチンを食品だけで摂ろうとすると、牛肉なら約4.4kg、ニシンでも約2〜3kgが必要です(Balsom et al., 1994)。ローディングにサプリメントが不可欠な理由がわかると思います。

ISSNのポジションスタンドでも、この「20g/日×5〜7日間→3〜5g/日」がクレアチン摂取の標準的なプロトコルとして記載されています(Kreider et al., 2017)。

なぜローディングで効果が早く出るのか

クレアチンは筋肉内に蓄積されて初めて効果を発揮します。筋肉のクレアチン貯蔵量には上限(飽和レベル)があり、この上限に達するまでは効果が十分に発揮されません。

1996年のHultmanらの研究は、この仕組みを明確に示しました。

  • ローディング群(20g/日×6日間):約6日で筋肉内クレアチンが約20〜40%増加し、飽和レベルに到達(プロトコルや個人差で幅がある)
  • 低用量群(3g/日×28日間):約28日で同じレベルに到達

つまり、ローディングをすれば約1週間で飽和に達するのに対し、ローディングなしでは約4週間かかります。到達点は同じです。(Hultman et al., 1996)

私が初めてクレアチンのローディングをしたのは12年前です。当時はとにかく早く効果を実感したくて、言われた通り1日20gを5日間やりました。3日目くらいからトレーニング中のレップ数が伸びた感覚があって、「これがクレアチンか」と実感したのを覚えています。ただ、後で知ったのですがこの体感にはプラセボ効果も含まれていた可能性があります。研究上の効果発現は飽和に達してからなので。

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ローディングは必要か?不要か?

研究データを踏まえると、ローディングは「便利だが必須ではない」というのが最も正確な答えです。

2024年にPashayee-Khameneらが発表したGRADE評価付きシステマティックレビュー・用量反応メタアナリシス(143件のRCT)では、クレアチン摂取により除脂肪量が平均0.82kg増加し(WMD 0.82kg、95%CI 0.57-1.06)、この効果はレジスタンストレーニングと組み合わせたときにより頑健になることが示されました(Pashayee-Khamene et al., 2024)。この解析では、ローディング無しのメンテナンス量でも体組成の改善がしっかり認められています。Antonioらのレビューでも、「ローディングは必須ではなく、低用量の継続摂取でも筋肉内クレアチン濃度は飽和に達する」と整理されています(Antonio et al., 2021)。

一方で、Forbesら(2021)の高齢者を対象としたメタアナリシスでは、ローディング期を含む研究を除外するとチェストプレス・レッグプレスの筋力向上はプラセボと有意差がなくなるという結果も示されています(Forbes et al., 2021)。除脂肪量はローディングの有無に関わらず増加する一方で、筋力アウトカム、特に高齢者では、ローディングが効果を引き出す要因になりうることには留意が必要です。

ローディングのメリット

  • 効果が早く出る:約1週間で筋肉内クレアチンが飽和する。ローディングなしでは約4週間かかる
  • 試合やイベントに合わせやすい:「2週間後の大会までに効果を出したい」というケースでは、ローディングのスピードが活きる
  • クレアチンの体感を確認できる:ローディング後の体重変化やパフォーマンス変化で、クレアチンが自分の身体に作用しているか確認しやすい

ローディングのデメリット

  • 胃腸症状が起きやすい:1日20gは消化管への負担が大きい。下痢・腹部膨満感・胃もたれなどが報告されている(Kreider et al., 2025)。対処法は クレアチンの副作用【はげる・腎臓・下痢】は本当か?実体験とエビデンスで徹底解説 で詳しく解説しています
  • 急激な体重増加:ローディング期間中に1〜3kgの水分貯留による体重増加が起こりやすい。ウェイトクラス制の競技者には不向き
  • コストが高い:ローディング期間中はメンテナンス摂取の4〜7倍のクレアチンを消費する
  • 飲む回数が多い:1日4回に分けて飲む必要があり、日常生活への組み込みが面倒

ローディングが向いている人

  • できるだけ早くクレアチンの効果を実感したい人
  • 近日中に試合やパフォーマンス評価がある人
  • 胃腸が比較的強く、過去に消化器系のトラブルが少ない人

ローディングが不要(スキップすべき)な人

  • 胃腸が弱い人、過去にクレアチンで下痢や膨満感を経験した人
  • 急ぐ理由がなく、じっくりクレアチンを導入したい人
  • ウェイトクラス制の競技者で、急な体重増加を避けたい人
  • コストを抑えたい人

パーソナルトレーナーとしてクライアントに指導するとき、ローディングは「全員にすすめるもの」ではなく「オプション」として提案しています。特に初めてクレアチンを試す方には「まず1日5gから始めて、約4週間で効果を見ましょう」と伝えることが多いです。理由はシンプルで、ローディングで胃腸症状が出ると「クレアチンは自分に合わない」と判断してやめてしまう方がいるからです。まずは身体に慣れてもらうほうが長期的にプラスです。

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ローディングの正しいやり方

ローディングを行う場合は、副作用を最小限に抑えるために以下のポイントを守ってください。

摂取スケジュール

  • 1日の総量:体重×0.3gが目安(例:70kgなら21g、60kgなら18g)。一般的には20gが標準とされています
  • 分割方法:5gを4回に分けて摂取(朝・昼・トレーニング後・夕食時など)
  • 期間:5〜7日間。7日を超えても追加の効果はありません
  • 移行:ローディング後はメンテナンス摂取(1日3〜5g)に切り替え

自分の体重に合った正確なローディング量・メンテナンス量を知りたい方は、 クレアチンとは? | エビデンス最強のサプリメント で体重を入力するだけで自動計算できます。

※1日20gを1〜2回でまとめて飲むのは絶対に避けてください。一度に10g以上を摂取すると、消化管への刺激が強く、下痢や腹部膨満感の原因になります。必ず4回以上に分割してください。

副作用を防ぐコツ

  • 毎回十分な水分と一緒に飲む:1回の摂取につき250〜300mlの水が目安
  • 食事と一緒に摂取する:空腹時より食後のほうが胃腸への刺激が少なく、インスリン分泌によるクレアチン吸収促進効果も得られる
  • 溶け残りがないようしっかり混ぜる:ぬるま湯やシェイカーを使うと溶けやすい
  • 水分摂取量を増やす:ローディング期間中はクレアチンが水分を引き込むため、普段より意識的に水を飲む

ローディングなしで始める方法

ローディングをスキップする場合の方法は非常にシンプルです。

Hultmanらの研究で実証されている通り、3g/日の摂取でも28日後には筋肉内クレアチン濃度はローディングした場合と同じレベルに達します。到達点が同じである以上、「4週間待てるなら、ローディングはなくても問題ない」と言えます(Hultman et al., 1996)。

クレアチンの飲むタイミングや飲み方の詳細は クレアチンの飲み方・飲むタイミングを徹底解説【筋トレ前?後?寝る前?】 をご覧ください。

実は私自身も、一度クレアチンの摂取を数ヶ月間やめた後に再開したときは、ローディングなしで1日5gから始めました。最初のときのようなローディングによる胃腸トラブルを避けたかったからです。効果の実感が出るまでに3週間ほどかかりましたが、パフォーマンスの向上幅は最終的にローディングしたときと体感的には変わりませんでした。急ぎの理由がなければ、ローディングなしで始めるほうが身体への負担が少なくておすすめです。

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まとめ

クレアチンのローディングについて、研究データと実体験をもとにまとめます。

  • ローディングとは:1日20g(5g×4回)を5〜7日間摂取し、筋肉内クレアチンを素早く飽和させる方法
  • 必要か不要か:必須ではない。ローディングしてもしなくても、到達するクレアチン濃度は同じ。違いは速さだけ(1週間 vs 4週間)
  • メリット:効果が早く出る。試合前など時間的制約がある場合に有効
  • デメリット:胃腸症状・急な体重増加・コスト増。初心者がやめる原因になりやすい
  • おすすめ:初めてクレアチンを試す方はローディングなし(1日3〜5g)からスタートし、身体の反応を確認してから判断するのが安全

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ローディングの判断ができたら、次は日常的な飲み方や副作用の不安を解消しましょう。

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参考文献

  1. Balsom PD, Söderlund K, Ekblom B. Creatine in humans with special reference to creatine supplementation. Sports Medicine. 1994;18(4):268-280.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7817065/
  2. Hultman E, Söderlund K, Timmons JA, Cederblad G, Greenhaff PL. Muscle creatine loading in men. Journal of Applied Physiology. 1996;81(1):232-237.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8828669/
  3. Kreider RB, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2017;14:18.
    https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-017-0173-z
  4. Kreider RB, Gonzalez DE, Hines K, Gil A, Bonilla DA. Safety of creatine supplementation: analysis of the prevalence of reported side effects in clinical trials and adverse event reports. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2025;22(sup1):2488937.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40198156/
  5. Antonio J, Candow DG, Forbes SC, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2021;18(1):13.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33557850/
  6. Pashayee-Khamene F, Heidari M, Asbaghi O, et al. Creatine supplementation protocols with or without training interventions on body composition: a GRADE-assessed systematic review and dose-response meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2024;21(1):2380058.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39042054/
  7. Forbes SC, Candow DG, Ostojic SM, Roberts MD, Chilibeck PD. Meta-Analysis Examining the Importance of Creatine Ingestion Strategies on Lean Tissue Mass and Strength in Older Adults. Nutrients. 2021;13(6):1912.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34199420/

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