乳糖不耐症でもプロテインは飲める?選び方とおすすめ

乳糖不耐症でもプロテインは飲める?選び方とおすすめ

乳糖不耐症だと、牛乳由来のプロテインを飲むとお腹がゴロゴロする、下痢やガスが気になるという方も少なくありません。しかし原因は乳糖(ラクトース)であり、タンパク質そのものではありません。学術論文や研究に基づくと、乳糖を避けるか減らす工夫をすれば、プロテインで十分なタンパク質を摂ることは可能です。本記事では、乳糖不耐症のメカニズム、プロテインの選び方、おすすめの種類、飲み方のコツまで、エビデンスを交えて解説します。

※プロテインの種類の全体像は プロテインの種類とは?ホエイ・ソイなど全7種類の特徴をわかりやすく解説 、WPIとWPCの違いは WPIとWPCの違いを徹底比較|成分・乳糖・価格で見る最適な選択 で解説しています。

※本記事は、乳糖不耐症の方でもプロテインを無理なく選ぶポイントや飲み方の工夫を詳しく解説します。乳糖不耐症のメカニズムから、選び方・おすすめの種類・食事でのタンパク質の取り方まで、科学的根拠に基づいた情報をお届けしますが、症状の改善やプロテイン利用の効果を約束するものではございません。参考までにご覧ください。また必ず個人の体質や体調に合わせて調整して頂き、体調が優れないときはお医者様にご相談ください。

乳糖不耐症とは?プロテインで不調が出る理由

乳糖不耐症の症状と原因

乳糖不耐症は、牛乳や乳製品に含まれる二糖類「乳糖(ラクトース)」を、小腸で十分に分解・吸収できない状態です。分解には brush-border にある酵素ラクターゼが必要で、Dengら(2015)およびMisselwitzら(2019)のレビューによると、この酵素の活性が加齢とともに低下する「乳糖非持続(lactase non-persistence)」が、成人の乳糖不耐症の主な原因とされています。

世界人口の約3分の2は離乳後にラクターゼ活性が低下する一方で、乳畜文化の歴史が長い北ヨーロッパなどでは「乳糖持続」の遺伝子型が高頻度にみられ、人種・地域によって有病率に大きな差があります。乳糖不耐症の遺伝学に関するNutrientsのレビュー(2020年)でも、東アジアでは乳糖非持続の割合が高いことが示されており、日本人でも牛乳で不調を感じる方は少なくありません。

症状は、乳糖を摂取してから30分〜2時間ほどで現れることが多く、腹痛、腹部膨満、腹鳴、ガス、下痢などが典型的です。吐き気や便秘として現れることもあります。Misselwitzら(2019)のレビューでは、症状の有無・程度は、乳糖の摂取量、残存するラクターゼ量、腸内細菌叢、消化管の運動や過敏性など、複数の要因に左右されるとされています。

なぜ牛乳由来のプロテインでお腹を壊すのか

牛乳由来のプロテイン(ホエイやカゼイン)には、製造過程で乳糖が残っているものがあります。特にホエイコンセントレート(WPC)はタンパク質純度が高くない分、乳糖が比較的多く残りやすいため、乳糖不耐症の方が飲むと症状が出やすくなります。

重要なのは、「お腹を壊す原因は乳糖であり、タンパク質そのものではない」という点です。乳糖不耐症者を対象としたEur J Clin Nutr(2022年)の二重盲検クロスオーバー試験によると、牛乳摂取後の血中アミノ酸濃度は、乳糖不耐症群・非乳糖性乳不耐症群・乳製品耐容群のいずれでも同様に上昇し、タンパク質の消化・吸収は乳糖不耐症の有無にあまり依存しないことが示されています。 つまり、乳糖を除くか減らせば、牛乳由来のタンパク質も活用できる可能性があります。

乳糖不耐症と牛乳アレルギーは違う

牛乳を飲むと不調になる「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」は別の仕組みです。牛乳アレルギーは免疫が乳タンパク質(カゼインやホエイなど)に反応して起こり、じんましんや呼吸症状、アナフィラキシーなどが出ることがあります。乳糖不耐症はラクターゼ不足による消化の問題で、腹痛・下痢・ガス・腹鳴などが主な症状です。アレルギーでは少量でも重い反応が出ることがあるのに対し、不耐症では乳糖の量によって症状の有無や強さが変わりやすい点も違いの一つです。

プロテイン選びでは、アレルギーの場合は乳由来の製品は避ける必要があります。不耐症の場合は乳糖を除いたホエイアイソレートや植物性・エッグプロテインなら検討できます。どちらか判断がつかないときや、症状が強いときは医療機関で検査を受け、原因に合った選び方をすることが大切です。

乳糖不耐症向けプロテインの選び方【3つのポイント】

プロテインの種類の全体像とWPC・WPIの違いは、 プロテインの種類とは?ホエイ・ソイなど全7種類の特徴をわかりやすく解説 WPIとWPCの違いを徹底比較|成分・乳糖・価格で見る最適な選択 で詳しく解説しています。以下では乳糖不耐症の方が押さえる3つのポイントに絞ります。

① 乳糖(ラクトース)が含まれない・少ないものを選ぶ

症状を避けるには、乳糖の摂取量を抑えることが基本です。Savaianoら(2006年)のメタ分析によると、乳糖摂取量と症状のあいだに用量反応関係があり、少量であれば多くの人が耐容できることが示されています。製品の表示で「乳糖」「ラクトース」「乳糖フリー」「ノンラクト」などを確認し、乳糖が含まれないか、含有量がごく少ないものを選ぶと安心です。

② 植物性プロテインの種類と特徴を押さえる

乳糖を根本から避けるなら、植物由来や卵由来のプロテインが有力な選択肢です。ソイ、ピー(えんどう豆)、エッグなどは乳糖を含まないため、乳糖不耐症の方でも使いやすいです。植物性タンパク質の筋合成への応答についてまとめたSports Medのレビュー(2021年)では、単体では筋タンパク質合成反応がやや劣る面があるとしつつも、量を確保する・複数種類を組み合わせる・不足しがちなアミノ酸を補うといった工夫で、筋合成面でも有効に活用できるとされています。

③ ホエイは「乳糖フリー・アイソレート」なら検討できる

ホエイプロテインには「コンセントレート(WPC)」と「アイソレート(WPI)」があります。市販のホエイコンセントレート・アイソレートの組成を調べた研究(Int J Food Sci Technol, 1999年)では、WPC は乳糖が残りやすく、WPI は膜濾過やイオン交換によりタンパク質純度が高く、乳糖はごく少量(例:重量比で約0.5%程度まで低下した製品もある)に抑えられたものが多いことが示されています。乳糖不耐症の方でホエイを試したい場合は、ホエイアイソレート(WPI)で乳糖フリーまたは低乳糖をうたっている製品を選ぶと、症状が出にくい可能性が高まります。

乳糖不耐症におすすめのプロテインの種類

ソイプロテイン

大豆由来のソイプロテインは乳糖を一切含まないため、乳糖不耐症の方に適しています。ソイプロテインの筋適応・代謝・運動パフォーマンスについてまとめたSports Medのシステマティックレビュー(2023年)では、ソイプロテインが筋量の増加や運動パフォーマンス、抗酸化能などにおいてホエイと同等または有用な結果を示した研究があり、アスリートや活動的な人にも推奨しうる代替タンパク質源として評価されています。味や食感が苦手な方は、フレーバーやメーカーを変えて試してみる価値があります。

エッグプロテイン(卵由来)

卵由来のエッグプロテインも乳糖を含まないオプションです。必須アミノ酸のバランスがよく消化吸収も良いとされており、乳糖不耐症の方でも使いやすいです。卵アレルギーのある方は避けてください。

ピープロテイン(えんどう豆由来)

えんどう豆由来のピープロテインも乳糖ゼロで、アレルゲンになりにくく消化にも配慮された製品が多いです。植物性タンパク質の筋合成への応答を扱ったSports Medのレビュー(2021年)では、動物性に比べてやや劣る面があるとされていますが、必要量を摂取する・他のタンパク質源と組み合わせることで、トレーニングとの組み合わせでも十分に活用できます。

乳糖フリーのホエイアイソレート

牛乳由来でも、ホエイアイソレート(WPI)で乳糖を十分に除去した「乳糖フリー」製品なら、乳糖不耐症の方でも利用できる場合があります。先述のEur J Clin Nutr(2022年)の研究でも、乳糖不耐症者でも牛乳タンパク質の消化・吸収は維持されることが示されており、問題は主に乳糖です。 製品表示で「WPI」「アイソレート」「乳糖フリー」「ノンラクト」などを確認して選んでください。

プロテイン以外でタンパク質をとるには

乳糖を避けつつタンパク質を確保するには、乳及び乳製品以外の食品を食事に取り入れる方法があります。肉(鶏むね肉・豚ヒレ・牛ももなど)、魚、卵、大豆製品(納豆・豆腐・厚揚げ・豆乳)、豆類(ひよこ豆・レンズ豆・枝豆)などは乳糖を含まないタンパク質源です。これらを毎食のうち1〜2品に組み合わせるだけでも、1日のタンパク質を十分に補えます。

プロテインは手軽ですが、日常の食事でタンパク質をとる習慣をつけておくと、乳糖を気にせず栄養を確保しやすくなります。プロテインと食事の両方で補う形にすると、乳糖不耐症の方でも無理なくタンパク質の目標量に近づけます。

乳糖不耐症の方が避けたいプロテイン・成分

乳糖不耐症の方が特に注意したいのは、乳糖が多く残りやすい製品です。学術的・産業的な知見から、次のような選択は避けた方が無難です。

  • ホエイコンセントレート(WPC):乳糖が比較的多く残りやすいため、症状が出やすい
  • ミルクプロテインやカゼインの一部製品:乳糖が含まれている場合があるため、表示確認が必須
  • 牛乳で溶かして飲む:乳糖を追加で摂ることになり、症状リスクが高まる

市販のホエイ製品では、コンセントレートとアイソレートで乳糖含有量に差があることが、先述の組成研究(Int J Food Sci Technol, 1999年)でも示されているため、パッケージの「WPC」「WPI」表記や乳糖フリーの有無を必ず確認してください。

飲み方の工夫で症状を軽くするコツ

乳糖の摂取量や摂り方が症状に影響するため、Dengら(2015)やMisselwitzら(2019)のレビュー、Savaianoら(2006)のメタ分析などで示されているように、以下の工夫が有効です。

少量から試す

Savaianoら(2006年)のメタ分析によると、乳糖摂取量と症状のあいだに用量反応関係があり、多くの人が少量(例:12g以下、コップ1杯の牛乳相当以下)であれば耐容できるとされています。新しいプロテインを試すときは、まずは半份量から始め、体調を見ながら増やすと安全です。

水で溶かして飲む(牛乳で割らない)

プロテインパウダーを牛乳で割ると、乳糖の総量が増えます。乳糖不耐症の方は、水や豆乳、乳糖フリーの植物性ミルクで溶かすことで、乳糖摂取を抑えられます。

食事と一緒に摂る

乳糖を他の食事と一緒に摂ると、胃内容物の滞留時間や消化の流れが変わり、症状が出にくくなることがあります。Dengら(2015)のレビューでも、乳糖を他の食品と一緒に、あるいは1日を通して分散して摂ることで耐容性が高まることが示唆されています。プロテインを食後や軽食と一緒に取るのも一つの方法です。

※乳糖不耐症かどうか、また症状の原因を確定するには医師の診断が必要です。つらい症状が続く場合は医療機関を受診してください。

よくある質問(FAQ)

ホエイアイソレートなら乳糖不耐症でも必ず大丈夫ですか?

製品により乳糖含有量は異なります。表示で「乳糖フリー」「ノンラクト」などを確認し、心配な場合は少量から試してください。

子どもも同じプロテインの選び方でよいですか?

小児は消化管や必要な栄養量が成人と異なります。乳糖不耐症が疑われるお子様のプロテイン利用は、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

ラクターゼ配合のサプリや薬は有効ですか?

乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)を補うサプリや薬は、乳製品をとる前に使うことで症状を軽くする選択肢の一つです。使用は製品の説明に従い、必要に応じて医師に相談してください。

まとめ:乳糖不耐症でもプロテインは選べば飲める

乳糖不耐症の原因は乳糖(ラクトース)であり、Eur J Clin Nutr(2022年)の研究のように、タンパク質の消化・吸収自体は維持されていることが示されています。そのため、乳糖を含まない・またはごく少ないプロテインを選べば、十分なタンパク質補給は可能です。植物性(ソイ・ピー)やエッグ、乳糖フリーのホエイアイソレートを中心に、表示で「乳糖」「WPC/WPI」などを確認し、少量から試して自分に合う製品を見つけてください。

飲むときは水や豆乳で溶かす、食事と一緒に摂るといった工夫で症状が出にくくなることもあります。症状がつらい場合や原因をはっきりさせたい場合は医療機関を受診し、プロテイン以外の食事からも肉・魚・卵・大豆・豆類などでタンパク質を補うと、乳糖を気にせず体づくりや健康維持を続けやすくなります。

【次に読むべきおすすめ記事】

乳糖不耐症向けの選び方を押さえたら、種類の全体像・WPIとWPCの違い・腹痛対策・目的別おすすめもあわせてチェックすると、自分に合う製品を選びやすくなります。以下の記事で解説しています。

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参考文献

  1. Deng Y, Misselwitz B, Dai N, Fox M. Lactose Intolerance in Adults: Biological Mechanism and Dietary Management. Nutrients. 2015;7(9):8020-8035.
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    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6839734/
  3. Genetics of Lactose Intolerance: An Updated Review and Online Interactive World Maps of Phenotype and Genotype Frequencies. Nutrients. 2020;12(9):2689. (乳糖不耐症の遺伝的機序・人種別頻度)
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7551416/
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    https://www.nature.com/articles/s41430-022-01119-0
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    https://ifst.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1365-2621.1999.00323.x
  6. Effect of Soy Protein Supplementation on Muscle Adaptations, Metabolic and Antioxidant Status, Hormonal Response, and Exercise Performance of Active Individuals and Athletes: A Systematic Review of Randomised Controlled Trials. Sports Med. 2023.
    https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-023-01899-w
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    https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-021-01540-8
  8. Savaiano DA, Boushey CJ, McCabe GP. Lactose intolerance symptoms assessed by meta-analysis: a dose-response relationship occurring with dairy intake. Nutr Rev. 2006. (少量の乳糖なら耐容できるという用量反応の知見)
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16549489/

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