ピープロテイン(えんどう豆)とは?効果・メリットと注意点を論文に基づき解説
「大豆アレルギーがあるから、ソイプロテインが飲めない」「ホエイでお腹を壊すけど、植物性プロテインの選択肢が少ない」——そんな方に知ってほしいのがピープロテイン(Pea Protein=えんどう豆プロテイン)です。乳・大豆・卵・グルテンといった主要アレルゲンを一切含まず、Babaultら(2015)のRCTではホエイと同等の筋力増加効果も報告されています。
本記事では、学術論文を交えながらピープロテインの効果・ソイとの違い・メリット・デメリットまでを解説します。「植物性プロテインを使いたいけど、ソイ以外にまともな選択肢がなかった」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
※「ピープロテインの前に、プロテインの種類の全体像をおさらいしたい」という方は、先に プロテインの種類とは?ホエイ・ソイなど全7種類の特徴をわかりやすく解説 をご覧ください。ソイプロテインの詳細は ソイプロテインとは?効果・メリット・デメリットを論文に基づき解説 で解説しています。
ピープロテインとは?基本を押さえよう
ピープロテインの原料と製造方法
ピープロテインは、黄色えんどう豆(Yellow Split Pea)を原料とした植物性プロテインです。えんどう豆を乾燥・粉砕した後、タンパク質を抽出・濃縮して製造されます。Babaultら(2015)の研究でもピープロテインは植物性タンパク質源として筋力増加に有効であることが報告されており、動物性に抵抗がある方の有力な選択肢として認知が広がっています。
栄養プロファイルとアミノ酸組成
ピープロテインのタンパク質含有率は製品により75〜85%程度です。Gorissen ら(2018)の分析によると、えんどう豆プロテインは植物性のなかでは必須アミノ酸を比較的多く含みますが、メチオニン(含硫アミノ酸)がやや不足する傾向があります。一方で、BCAA(分岐鎖アミノ酸)のうちロイシン含量はソイプロテインと同等かやや多いとされ、筋タンパク質合成のシグナルとなるロイシンを植物性のなかでは効率的に摂取できます。
さらに、鉄分を豊富に含む点も他のプロテインにはない特徴です(詳しくはメリットの項で解説します)。
「ピー」の意味と由来
「ピー(Pea)」は英語で「えんどう豆」の意味です。グリーンピースと同じ植物ですが、プロテイン原料には完熟して乾燥させた黄色えんどう豆が使われます。グリーンピースの青臭さとは異なり、比較的マイルドな風味です。
ピープロテインのメリット・効果
主要アレルゲンフリーで誰でも飲みやすい
ピープロテインの最大の強みは、乳・大豆・卵・小麦・グルテンといった主要アレルゲンを一切含まないことです。乳製品アレルギーでホエイが飲めない方、大豆アレルギーでソイが選べない方にとって、ピープロテインはほぼ唯一の高品質な植物性プロテインの選択肢となります。
筋力増加効果はホエイと同等——複数のRCTで確認
Babaultら(2015)の12週間のRCT(ランダム化比較試験)では、161名の男性を対象にピープロテインとホエイプロテインを摂取しながらレジスタンストレーニングを行った群を比較しました。全体の分析ではピー群とホエイ群の差はP=0.09とトレンドに留まりましたが、トレーニング経験が浅く初期筋力が低いサブグループではピー群(+20.2%)がプラセボ群(+8.6%)より有意に大きい筋厚増加を示しました。ピー群とホエイ群(+15.6%)の間に有意差はなく、植物性でもホエイと同等の効果が期待できることを示唆する結果です。
さらにBanaszekら(2019)の8週間のパイロット研究(n=15)でも、高強度ファンクショナルトレーニング(HIFT)を行いながらピーまたはホエイプロテインを摂取した群を比較し、スクワットやデッドリフトの筋力向上において両群間に有意差がなかったと報告されています。サンプルサイズが小さいため結果の解釈には注意が必要ですが、Babaultらの結果と合わせて「ピー≒ホエイ」の傾向を支持するデータです。
ただし、より広い視点で見ると注意すべきデータもあります。Limら(2021)の16件のRCTを対象としたメタアナリシスでは、タンパク質源の違いは筋量・筋力に有意な影響を与えなかったと結論づけられています。一方で、Reid-McCannら(2025)の43件のRCTを含む最新のメタアナリシスでは、筋力には植物性・動物性で差がなかったものの、筋量については非ソイ植物性プロテイン(米・チア・オート等)が動物性に劣るという結果が報告されました。この分析にピープロテインは明示的に含まれていませんが、植物性プロテイン単体での筋量増加には限界がある可能性を示唆しています。ピープロテインで筋量増加を目指す場合は、十分な摂取量(30g以上/回)の確保とライスプロテインとのブレンドによるアミノ酸補完が重要です。
消化率が高く、お腹に優しい
Guillinら(2022)のヒト試験では、ピープロテインの回腸アミノ酸消化率は93.6%で、カゼインの96.8%と統計的に有意差がなく、タンパク質品質の国際指標であるDIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)も1.00を達成しました。これは植物性プロテインとしては非常に高い数値で、「植物性は消化が悪い」というイメージを覆すデータです。
また、大豆に含まれるトリプシンインヒビター(消化酵素阻害物質)のような成分が少ないため、ソイプロテインと比較して消化時のガスや膨満感が出にくいという声もあります。食物繊維を含むため消化がゆっくり進み、ダイエット中の間食代わりや食事の間隔が空くタイミングでの摂取にも適しています。ただし、Langら(1998)の研究ではピーを含む6種のタンパク質間で満腹感に有意差は認められておらず、劇的な腹持ち効果を期待するものではない点は留意してください。
環境負荷が低い
えんどう豆の栽培は、畜産と比較して温室効果ガスの排出量や水使用量が大幅に少なく、また大豆と異なり窒素固定能力があるため肥料の使用量も抑えられます。環境意識の高い方にとって、ピープロテインはサステナブルな選択肢です。
鉄分が豊富——プロテインと同時に鉄を補給
ピープロテインは1食あたり5〜8mgの鉄分を含む製品が多く、これはホエイ(1mg未満)やソイ(2〜3mg程度)と比較して突出しています。成人女性の1日の推奨鉄摂取量は10.5mg(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)であることを考えると、1杯で半日分近い鉄分を摂取できる計算です。
ただし、植物性の鉄(非ヘム鉄)はフィチン酸により吸収が制限されやすいという課題があります。Shawら(2023)の女性ランナーを対象とした8週間のRCTでは、低フィチン酸処理したえんどう豆サプリメントを用いてもフェリチン値の改善は統計的に有意ではなく、「より高用量または長期間の摂取が必要」と結論づけられています。ピープロテインの鉄分を活かすには、ビタミンCと一緒に摂取して吸収率を高める工夫(フルーツと一緒にスムージーにするなど)がおすすめです。
ピープロテインのデメリット・注意点
メチオニンが不足しやすい
Gorissenら(2018)の分析によると、えんどう豆プロテインは含硫アミノ酸(メチオニン・システイン)の含有量がホエイや卵と比較して少ない傾向があります。このため、ピープロテイン単体では必須アミノ酸のバランスが完全ではありません。ライスプロテインと組み合わせることでアミノ酸プロファイルが補完されるため、「ピー&ライス」のブレンド製品が市場では人気です。
独特の風味がある
えんどう豆特有の青臭さや穀物のような風味があり、ホエイのまろやかさやソイのきなこ感とは異なります。フレーバー付き製品(チョコレート・バニラ・抹茶など)を選ぶことで飲みやすくなります。
ホエイと比べるとBCAA含有量はやや劣る
ロイシン含量はソイと同等レベルですが、ホエイプロテインと比較するとBCAA全体の含有量は劣ります。筋トレ後の急速な筋タンパク質合成を最優先する場合、ホエイの方がアミノ酸組成としては有利です。
溶けにくい製品がある
粒子が大きく、水に溶けにくい製品があります。シェイカーでしっかり振る、少量の水で先に溶かしてから残りの水を加えるなどの工夫が必要な場合があります。溶かし方のコツは プロテインがダマにならない振り方|初心者でも失敗しないコツと正しい作り方 で解説しています。
ソイプロテインとの違いを比較
同じ植物性プロテインとして比較されることが多いピーとソイ。それぞれの特徴を整理します。
| 項目 | ピープロテイン | ソイプロテイン |
|---|---|---|
| 原料 | 黄色えんどう豆 | 大豆 |
| アレルゲン | 主要アレルゲンフリー | 大豆アレルギーに該当 |
| 吸収速度 | 中程度 | 中程度(3-5時間) |
| ロイシン含量 | ソイと同等〜やや多い | 植物性のなかでは標準 |
| 不足アミノ酸 | メチオニン | メチオニン |
| イソフラボン | 含まない | 含む(美容効果が期待) |
| 鉄分 | 豊富 | 普通 |
| 消化のしやすさ | 比較的スムーズ | ガスが出やすい人もいる |
| 環境負荷 | 非常に低い | 低い |
| 価格 | やや高め | 手頃 |
大豆アレルギーがある方はピープロテインが唯一の植物性選択肢となります。美容目的でイソフラボンを摂りたい方にはソイ、鉄分も一緒に補給したい方にはピーが向いています。両方にアレルギーがなければ、味の好みや価格で選んでも問題ありません。ソイプロテインの詳細は ソイプロテインとは?効果・メリット・デメリットを論文に基づき解説 で解説しています。
ピープロテインが向いている人
- 大豆アレルギーで植物性プロテインを探している方
- 乳製品アレルギーでホエイ・カゼインが飲めない方
- ヴィーガンやベジタリアンの方
- 環境に配慮したサステナブルな食品を選びたい方
- 鉄分不足が気になる女性やアスリート
- ソイプロテインでお腹が張りやすい方
ピープロテインは「アレルギーがあっても飲める植物性プロテイン」として非常に優秀です。私はソイプロテインがメインですが、気分転換にピープロテインを飲むこともあります。初めて飲んだときは正直「豆っぽいな…」と思いましたが、チョコ味に変えたら全く気にならなくなりました。ソイで感じるお腹の張りがピーでは出にくいのも個人的に嬉しいポイント。鉄分が一緒に摂れるので、特に女性には積極的にすすめたいプロテインです。
ピープロテインの飲み方と摂取タイミング
おすすめの摂取タイミング
- 朝食時:1日のスタートにタンパク質と鉄分を同時補給
- 間食時:腹持ちが良く、ダイエット中の小腹対策に
- トレーニング後:Babaultらの研究ではトレーニング後の摂取で筋力増加が確認
ライスプロテインとの併用がおすすめ
メチオニンの不足を補うために、ライスプロテイン(米由来)との併用が推奨されます。ピーはロイシンが多くメチオニンが少ない、ライスはメチオニンが多くロイシンが少ないという相互補完の関係にあり、組み合わせることでホエイに近い必須アミノ酸バランスが実現できます。Berrazagaら(2019)のレビューでも、複数の植物性プロテインをブレンドする戦略はアミノ酸の欠点を補う有効なアプローチとして推奨されています。
実際にPinckaersら(2022)の研究では、小麦・コーン・ピーを組み合わせた30gの植物性ブレンドを摂取した場合、筋タンパク質合成の反応(0.064%/h)が同量のミルクプロテイン(0.053%/h)と有意差がなかったことが報告されています。この研究はピー&ライスの組み合わせではありませんが、植物性プロテインでもブレンドと十分な量(30g以上)を意識すれば動物性に匹敵する同化反応が得られることを示す重要なデータです。
市販の「ピー&ライスブレンド」製品は最初からこの組み合わせを1つの製品で実現しており、自分で配合を考える必要がありません。植物性で完全なアミノ酸組成を求める方は、単体のピープロテインよりもブレンド製品を選ぶのが手軽でおすすめです。海外ブランドではこのタイプが多く、iHerbやAmazonで「pea rice protein」で検索すると見つかります。
1日の摂取量の目安
1回あたり20〜30gのタンパク質量を目安に、1日1〜2回の摂取が現実的です。食事からのタンパク質摂取量と合わせて、体重1kgあたり1.4〜2.0g程度を目標にしましょう。プロテインを飲むタイミング全般は プロテインはいつ飲むのが効果的?【目的別】最適なタイミング完全ガイド で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q: ピープロテインだけで筋肉はつきますか?
Babaultら(2015)の研究では、ピープロテインとトレーニングの併用でホエイと同等の筋力増加が報告されています。ただしメチオニンが不足しやすいため、ライスプロテインとの併用や食事でメチオニンを含む食品(ナッツ、卵、魚など)を摂ることで、アミノ酸バランスを補完するとより効果的です。
Q: ピープロテインは大豆アレルギーでも飲めますか?
はい。えんどう豆と大豆は異なる植物であり、ピープロテインには大豆成分は含まれません。ただし、製造ラインで大豆を扱っている場合はコンタミネーション(混入)の可能性があるため、パッケージの注意表示を確認してください。
Q: ソイプロテインとどちらがおすすめですか?
大豆アレルギーがある方はピー一択です。アレルギーがなければ、美容目的(イソフラボン)ならソイ、鉄分補給やお腹の張りが気になる方はピーが向いています。味の好みで選んでも問題ありません。
Q: ピープロテインは子どもや妊婦でも飲めますか?
えんどう豆は一般的な食品であり、基本的には安全とされています。ただし、サプリメントとしての利用は個人の体質や状態によるため、妊娠中・授乳中の方や小さなお子様は、医師や管理栄養士に相談してから利用してください。
【次に読むべきおすすめ記事】
ピープロテインの特徴を押さえたら、プロテインの種類の全体像やソイとの比較もあわせてチェックすると、自分に最適な植物性プロテインが見つかります。
- プロテインの種類の全体像を知りたい方は → プロテインの種類とは?ホエイ・ソイなど全7種類の特徴をわかりやすく解説
- ソイプロテインの詳細を知りたい方は → ソイプロテインとは?効果・メリット・デメリットを論文に基づき解説
- ホエイとソイの比較を知りたい方は → ホエイプロテインとソイプロテインの違い|原料・吸収速度・向いている人を徹底比較
参考文献
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Babault N, Païzis C, Deley G, et al. Pea proteins oral supplementation promotes muscle thickness gains during resistance training: a double-blind, randomized, Placebo-controlled clinical trial vs. Whey protein. J Int Soc Sports Nutr. 2015;12(1):3.
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Banaszek A, Townsend JR, Bender D, et al. The Effects of Whey vs. Pea Protein on Physical Adaptations Following 8-Weeks of High-Intensity Functional Training (HIFT): A Pilot Study. Sports (Basel). 2019;7(1):12.
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Guillin FM, Gaudichon C, Guérin-Deremaux L, et al. Real ileal amino acid digestibility of pea protein compared to casein in healthy humans: a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2022;115(2):353-363.
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Pinckaers PJM, Kouw IWK, Hendriks FK, et al. The Muscle Protein Synthetic Response to the Ingestion of a Plant-Derived Protein Blend Does Not Differ from an Equivalent Amount of Milk Protein in Healthy Young Males. J Nutr. 2022;152(12):2734-2743.
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39813010/
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この記事を書いた人
フィット
- 2014年7月 筋トレスタート(歴10年)
- 2018年5月 パーソナルトレーナースタート(歴7年)
- 2019年6月 社内で最速級の速さで店長へ就任
- 2020年4月 フリーランスパーソナルトレーナーとして独立
- 2022年7月 株式会社FITONLINE設立
- 2026年3月 FitOnline Labを開発。2,000以上のフィットネス関連論文を査読。
- 2026年7月 FitOnlineで試飲したプロテイン28ブランド・276フレーバー
- パーソナルトレーナーとして最高月収150万円達成
- 実際に飲んで試してきたプロテインの種類50種類以上、サプリメント30種以上
- ANYTIME、JOYFIT、FASTGYM、ゴールドジム、FIT PLACE、東急スポーツオアシスなど計10以上の大手ジム利用経験あり
- 通算1,000名以上のお客様へカウンセリング・セッション
- お客様の最高減量幅34kg

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