カフェイン断ちの効果は何日で出る?耐性リセットと運動者向けサイクリング設計

カフェイン断ちの効果は何日で出る?耐性リセットと運動者向けサイクリング設計

「最近コーヒーが効かなくなった」「200mgでも眠気が消えない」「効きを取り戻すには何日断てばいいのか」。耐性ができたカフェインは、止め方次第で1〜2週で受容体ごとリセットできます。完全断ちと運動者向けサイクリング、どちらが自分に合うかが本文で分かります。

「最近効かなくなったな」と感じて自分で耐性リセットを試したトレーナーとして、13本のヒト対象研究と現場の体感で正直に整理しました。

※本記事は学術研究の紹介を目的としたもので、医療行為や治療を推奨するものではありません。重い頭痛・不安・うつ症状・カフェイン依存に悩む方、心疾患・不安障害・睡眠障害の既往がある方、妊娠中・授乳中の方は、必ず医師にご相談ください。

※耐性リセットの設計に入る前に、カフェインの運動効果や量・タイミングの基本をおさらいしたい方は、先に カフェイン×筋トレ完全ガイド|効果・量・タイミング・副作用 をご覧ください。

カフェイン耐性ができる仕組み【受容体が増える1〜2週】

耐性の話は「気持ちの慣れ」ではなく、脳の中で実際に物理的な変化が起きている現象です。仕組みを理解すれば、何日断てば元に戻るかも逆算できるようになります。

眠気物質の受容体が増えるから効きが鈍る

カフェインの主な作用は、脳内の「アデノシン」という眠気物質をブロックすることです。ところが毎日カフェインで受容体をふさぎ続けると、体は「ブレーキ役のアデノシンが足りない」と判断して受容体そのものの数を増やしていきます(受容体の増加)。同じ200mgを飲んでも、増えた受容体すべてをブロックしきれず、効きが鈍く感じるという仕組みです。

つまり耐性は気合や慣れではなく、脳の構造変化として起きている実体のある現象です。半減期5時間からの逆算や1回ごとの効き時間の話は カフェインは何時間効く?運動前のベストタイミングと寝る前の最終ライン で整理しています。

20日続けると運動効果が減弱する(Lara 2019)

連続摂取で効きがどれくらい弱まるかを直接調べた比較試験があります(Lara 2019)。健康な活動的成人11名に、体重1kgあたり3mgのカフェインを20日間連続摂取させたものです。持久系のテストでは最初の15日間は約4.0%のパワー向上が維持されたものの、それ以降は徐々に効果が弱まり、最終的には偽薬と差がなくなる方向に進みました。「長く飲むほど効かなくなる」を実証した重要な研究です。

とくに減量期で毎日同じ量のカフェインを使うと、この耐性形成が脂肪燃焼の押し上げ効果を直撃します。体重別の量設計と「重要トレ日・有酸素日に絞って使う」メリハリ運用の詳細は カフェインはダイエットに使える?脂肪燃焼の仕組みと減量期の活用法を13研究で整理 で扱っています。

同じ著者らの追加分析(Ruiz-Moreno 2020)では、副作用の側にも興味深いパターンが出ました。血圧上昇は8日目までに耐性が形成されて消えた一方、神経過敏・易刺激性・不眠・尿量増加は20日間ずっと出続け、こちらには耐性がほぼ形成されませんでした。「副作用が消えたから安心」ではなく、「効果は減って副作用の一部だけ残る」というのが連続摂取の現実です。

毎日400mg超を飲むと筋トレ効果も消える(Wilk 2019)

もっと衝撃的なのが、習慣的にカフェインを飲んでいる筋トレ経験者15名を対象にした比較試験(Wilk 2019、低中用量)です。被験者の日常摂取量は1日平均426mg。この人たちに3・6・9mg/kgのカフェインを運動前に飲ませて、ベンチプレスの最大パワーとバー速度を測定しました。結果は「全用量で偽薬と差なし」。日常400mg超を飲み続けている人では、9mg/kgという高用量でも筋トレ効果が完全に消えていたのです。

同じ著者らの続報(Wilk 2019、高用量)では、習慣摂取者16名に9mg/kg・11mg/kgまで増やしても1RMや筋持久力は偽薬と差がなく、それどころか11mg/kgではピークパワーがむしろ有意に低下した結果でした。重度の習慣摂取者は、量を増やしても損するだけということです。

4日程度の短期では耐性は形成されない(Morales 2020)

一方で「数日連続で飲んだだけ」では耐性は出ません。男性サイクリスト14名に体重1kgあたり6mgのカフェインを4日連続摂取させ、5日目に16kmのタイムトライアルを行わせた比較試験(Morales 2020)では、5日目でも約3.5%のタイム短縮が維持されました。「直前数日のカフェインで効きが落ちる」ことはなく、問題になるのは2週間以上の連続摂取です。

自分が耐性できているか?セルフチェック5項目

耐性形成は数値で測れない代わりに、日常の体感ではっきり分かるサインがあります。3つ以上当てはまるなら、リセットを検討する段階です。

  • 朝のコーヒー無しでは頭が回らない:起床直後の覚醒をカフェインに依存している状態。受容体が増えて、ベースの覚醒水準が下がっている可能性
  • 200mgでも以前のような覚醒感が出ない:以前は1杯で十分だったのに、今は2杯目を求めてしまう。Lara 2019の20日減弱パターンと一致
  • 同じトレ重量でも以前ほどパワーが出ない:Wilk 2019の習慣摂取者で見られた「カフェインの運動効果消失」が起きている可能性
  • 動悸・不眠などの副作用が消えた:Ruiz-Moreno 2020で示された血圧耐性と同じく、心拍系の反応にも慣れができている
  • カフェインを抜くと頭痛・倦怠感が出る:これがいちばん明確な耐性のサイン。離脱症状(後述)が出る時点で、すでに依存が形成されている

とくに「朝のコーヒーなしでは動けない」「動悸が消えた」の2つが両方当てはまる場合は、リセットによる効果回復が大きく見込めます。

カフェイン断ちは何日で効果が戻る?【最短3日・標準8〜14日】

耐性をリセットする期間は「目的」によって変わります。完全に元の感受性を取り戻したいなら2週間が王道ですが、運動者には「直前数日だけ抜く」という時短戦略も研究で支持されています。

直前8時間断ちでも効果回復の可能性(Griest 2023)

習慣的にカフェインを飲んでいる10名で4条件を比較した試験(Griest 2023)が、運動者にとってもっとも実用的な結果を示しました。種目は10kmサイクリングのタイムトライアルです。被験者は「運動8時間前にもカフェインを摂って普段通りの状態を再現した条件」と「8時間前は偽薬で離脱状態を作ってから運動1時間前に6mg/kgのカフェインを投与した条件」でタイムを比較されました。結果、離脱状態を作ってからカフェインを入れた条件のみ偽薬比で有意なタイム短縮が出たのに対し、普段通り飲み続けた条件では偽薬と差がありませんでした

つまり「2週間断ち」の根本ロジックは、「直前の空白時間が効果回復のスイッチ」という点にあります。8時間程度の短期断ちでも、運動効果を取り戻せる可能性があるという報告です。試合直前で2週間も抜けない競技者にとっては希望のあるデータです。

7〜9日でほとんどの離脱症状が消える(Juliano 2004)

カフェイン離脱症状の決定版とされる大規模レビュー(Juliano 2004、実験57件と調査9件を統合)では、離脱症状の発症は最後の摂取から12〜24時間後、ピークは20〜51時間後、典型的な持続期間は2〜9日(最長21日まで報告あり)と整理されています。離脱症状が消えるタイミングは、受容体が正常な数に戻り始めている目安と考えられます。

つまり1週間断てば最低限の感受性回復は始まるということです。重度の習慣摂取者でも、9日あれば離脱症状はほぼ収束します。

15〜18日でほぼフルリセット(Lara 2019)

Lara 2019の20日連続摂取試験を逆方向から読み解くと、15〜18日かけて耐性が完成することが分かります。逆に言えば同じだけの期間(15〜18日)を断てば、ほぼ完全に元の感受性を取り戻せると考えられます。本気で「初めてカフェインを飲んだ日の感覚」を取り戻したいなら、2週間以上の完全断ちが現実的な目安です。

完全断ち vs 部分断ちの選び方

「完全に抜く」か「量を減らすだけにする」かは、目的と離脱症状の許容度で決めます。

  • 完全断ち(2週間ゼロ):効果回復は最大。ただし1〜3日目に離脱症状が出やすい。大会・MAX日に効きを最大化したい人向け
  • 段階的減量(1〜2週かけて半量→ゼロ):離脱症状が出にくい。普段のメリハリ運用を始めたい人向け
  • 直前のみ断ち(試合8時間〜2日前から):Griest 2023の知見。完全リセットほどではないが、直前カフェインの効果は取り戻せる
  • 部分断ち(朝1杯のみに減量):副作用の耐性を維持しつつ依存度を下げる。長く続けやすい

断ち頭痛・離脱症状を乗り切る5つの対処法

カフェイン断ちで最大のハードルが、1〜3日目に出る離脱頭痛です。これを乗り切れずに挫折する人がほとんどなので、対処法を先に押さえておきましょう。

離脱頭痛の正体は「血管の反動性拡張」

カフェインには血管を縮める作用があります。普段からカフェインで血管が縮んでいた人が突然摂取をやめると、血管が反動で大きく広がり、片頭痛のような拍動性の頭痛が出ます。これがカフェイン離脱頭痛の正体です。

Juliano 2004の大規模レビューでは、カフェイン断ちをした人の約50%が頭痛を経験し、約13%は日常生活に支障が出るレベルでした。注目すべきは1日100mg程度の少量摂取者でも離脱症状が出ることで、「自分は飲んでないから大丈夫」と思っていても、毎朝コーヒー1杯の人は十分に依存圏内です。

対処法1:いきなりゼロにせず段階的に減らす

もっとも実用的なのが段階的減量です。私が指導現場で勧めているのは次のスケジュールです。

  • 1〜3日目:いつもの量を半分に減らす(朝コーヒー2杯→1杯)
  • 4〜7日目:さらに半分に(朝コーヒー1杯→デカフェか紅茶半分)
  • 8〜14日目:完全にゼロまたはデカフェのみ

この方法なら離脱頭痛がほぼ出ないか、出ても軽度で済みます。「2週間後の大会に向けて」「来月の試合に向けて」と逆算して始めるのがポイントです。

対処法2:水分を多めに取る

脱水は頭痛を悪化させる代表的な要因です。カフェインには利尿作用もあるため、断ち初期は普段以上に水分を意識してください。1日2L以上を目安に、こまめに水か白湯を飲むのが基本です。

対処法3:軽い有酸素で血流を整える

ウォーキングや軽いジョギングで血流が整うと、血管の反動性拡張による頭痛が和らぎます。激しいトレは離脱期には不向きですが、20〜30分の散歩程度なら気分転換にもなります。

対処法4:睡眠を多めに取る

受容体の正常化は睡眠中に進むと考えられています。離脱期は普段より1〜2時間多めに寝るくらいの気持ちで、昼寝も活用してください。「眠くて何もやる気が出ない」のは離脱症状の典型で、無理に頑張らず休むのが正解です。

対処法5:ハーブティー・麦茶で口寂しさを代替

「コーヒーを飲む習慣」自体への依存も大きいので、ノンカフェインの代替を用意しておくと挫折しにくくなります。L-テアニン入りの緑茶(デカフェタイプ)、ルイボスティー、麦茶、ハーブティーあたりがおすすめです。温かい飲み物を手に持つだけでも満足感が変わります。

※重い頭痛が3日以上続く、嘔吐を伴う、薬を飲んでも改善しない場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。カフェイン離脱以外の原因の可能性もあります。

私自身は特別ヘビーユーザーだったわけではなく、毎朝コーヒー1杯、多い日は午後にもう1杯飲む程度(合計150〜180mg)が長く続いていた中程度の摂取者です。「最近コーヒーを飲んでも効いてる感じがしない」と気づいて、試しに2週間カフェインを抜いてみました。初日の午後にじんわり頭痛と倦怠感、2日目の朝もやや頭が重い感じが出て、「1日2杯くらいでも離脱症状って出るんだ」と驚いたのが正直な感想です。3〜4日目には頭痛は消え、1週間後には朝コーヒー無しでも頭がしっかり目覚めるように。2週間後に久しぶりにコーヒーを飲んだら「ガツンと効く」感覚が戻ってきて、しばらくは1杯で十分満足できるようになりました。中程度の習慣でもリセット効果は確実にある、というのが実体験ベースの結論です。

フィット

【一方で】習慣摂取者でも効くという最新メタ分析

ここまで「断たないと効かない」という話を中心に進めてきましたが、最新の大規模分析では「いつも飲んでる人にも普通に効く」という相反するデータも出ています。両方の知見を踏まえて、自分に必要かどうかを判断するのがフェアです。

60件の研究を統合しても習慣量は影響なし(Carvalho 2022)

2022年に発表された60件の比較試験を統合した大規模分析(Carvalho 2022)では、「カフェインの習慣摂取量が、急性のパフォーマンス向上効果に影響するか」を直接検証しました。総合効果は明確に向上が出る一方で、習慣摂取量と急性効果の交互作用は確認されませんでした。研究者の結論は明快で、「習慣的なカフェイン摂取は、急性のパフォーマンス向上効果に影響しないように見える」というものです。

毎日351mg飲んでも急性効果は同等(Gonçalves 2017)

男性持久系サイクリスト40名を日常摂取量で3グループ(低=58mg/日、中=143mg/日、高=351mg/日)に分け、急性6mg/kgのカフェインの効果を比較した試験(Gonçalves 2017)でも、3グループすべてで同程度の運動効果が出ました。研究者は「30分のサイクリングタイムトライアルにおける急性カフェインの効果は、習慣摂取量に影響されない」と結論しています。

コーヒー摂取者でも5kmサイクリングで8秒短縮(Clarke 2021)

レクリエーション活動者46名を対象に、コーヒー由来のカフェイン3mg/kgで5kmサイクリングタイムトライアルを行わせた試験(Clarke 2021)でも、普段からコーヒーを飲む人で約8秒のタイム短縮が確認されました。習慣摂取量の低い群(9±14秒短縮)と高い群(8±10秒短縮)で同等の改善が出ており、習慣摂取量による効果差は確認されませんでした。

「サイクリング推奨のエビデンスは小さい」という中庸レビュー(Pickering 2019)

カフェインの専門レビュー(Pickering 2019)でも、「カフェインの習慣化と離脱戦略を支持するエビデンスベースは驚くほど小さい」と結論されています。「全員にサイクリングが必要」という主張は、実は研究的根拠が弱いという中庸な見解です。

結論:重度習慣摂取者だけサイクリングを検討すればよい

これらの知見を総合すると、現実的な答えはこうなります。

  • 1日200mg以下の摂取者:サイクリング不要。普段通り飲んで運動前に追加でOK
  • 1日200〜400mgの中程度摂取者:大会・MAX日のみ直前断ち(Griest 2023の8時間〜2日断ち)で十分
  • 1日400mg超の重度習慣摂取者:Lara 2019・Wilk 2019の知見から、2週間サイクリングが有効

「飲み続けても効く」と「2週間断つともっと効く」は両立する話で、自分の習慣量とイベントの重要度で使い分けるのが合理的です。

運動者向けサイクリングプロトコル4選【重要日だけ効かせる設計】

耐性リセットを実生活に落とし込むためのプロトコルを4パターン用意しました。普段の習慣量と大会の有無で選んでください。

プロトコルA:平日デカフェ・週末トレ日のみ摂取

もっとも手軽で続けやすい部分サイクリングです。月〜金はデカフェコーヒーや麦茶、土日のトレ日のみ通常のカフェインを200〜300mg摂取します。常に「カフェイン断ち5日→使う2日」の流れを作ることで、週末ごとに感受性がリセットされます。仕事用にはL-テアニン+デカフェコーヒーで集中感を補うのが現場の知恵です。

プロトコルB:大会・MAX日の8〜10日前から完全断ち→当日6mg/kg

競技選手や大会出場者向けの本格リセット型です。Griest 2023の「直前断ちで効果回復」とJuliano 2004の「7〜9日で離脱症状終息」を組み合わせた設計で、イベント8〜10日前から完全断ち→当日6mg/kgのカフェインを60分前摂取。離脱症状が落ち着いた状態で、ピークの効果を取りに行ける構成です。

プロトコルC:2週間オン・1週間オフのローテーション

長期的にカフェインの恩恵を維持したい人向けの中庸プロトコル。2週間は普段通り使い、1週間完全に抜くを繰り返します。1週間オフではJuliano 2004の知見通り離脱症状が概ね収束し、再開時の感受性も部分的に戻ります。減量期や試合がない時期の維持運用に向いています。

プロトコルD:大会2週間前から完全断ち→当日3-6mg/kg

もっとも効果を最大化する王道プロトコル。Lara 2019の「15〜18日で耐性形成」を逆算して、大会2週間前から完全断ち→当日3〜6mg/kgで久しぶりのカフェインを投入します。離脱症状は初週で乗り切り、後半1週間は受容体回復期に充てます。当日は感受性が戻っているため、低用量3mg/kgでも十分効くことが多いです。

体重別 大会当日のカフェイン量早見表

サイクリング後の「久しぶり一発」を投入する量の目安です。3mg/kg(軽め)〜6mg/kg(標準)の範囲で、感受性が戻っているなら下限から始めると安全です。

  • 50kg:3mg/kg=150mg/4mg/kg=200mg/5mg/kg=250mg/6mg/kg=300mg
  • 60kg:3mg/kg=180mg/4mg/kg=240mg/5mg/kg=300mg/6mg/kg=360mg
  • 70kg:3mg/kg=210mg/4mg/kg=280mg/5mg/kg=350mg/6mg/kg=420mg
  • 80kg:3mg/kg=240mg/4mg/kg=320mg/5mg/kg=400mg/6mg/kg=480mg
  • 90kg:3mg/kg=270mg/4mg/kg=360mg/5mg/kg=450mg/6mg/kg=540mg

注意点として、1日400mgの安全上限9mg/kg超は副作用増のみで効果頭打ち(Guest 2021、ISSN見解)の2つは必ず守ってください。70kg以上の方は6mg/kgで400mgを超えるので、まず3〜5mg/kgで様子を見るのが安全です。体重別早見表や1日上限の根拠は カフェインの1日摂取量は何mg?体重別の早見表で運動者の最適量を解説 で詳しく扱っています。

1,000名以上を指導してきた中での実感ですが、平日デカフェ→週末トレ日のみ200mgに切り替えた30代女性のクライアントでは、3週間ほどで「重要トレ日のパワーが戻ってきた」と報告がありました。重度の習慣摂取をやめて部分サイクリングに切り替えるだけでも、感受性は十分に取り戻せます。

リセット後の再導入【低用量から戻す】

2週間の断ち期を終えて、いざカフェインを再開するときに「また400mg飲んじゃおう」では、せっかくのリセットが台無しです。低用量から戻す原則を守ってください。

体重1kgあたり2mgから再開する

耐性ゼロの状態では低用量でも十分効きます。体重1kgあたり2mg(60kgなら120mg、ドリップコーヒー1〜1.5杯)からスタートし、効きと副作用を確認しながら段階的に上げていくのが王道です。「効いた」と感じる量を見つけたら、それをそのまま標準量にしてください。

遺伝子による効きやすさの違いがある(Pickering 2018)

カフェインの個人差をまとめたレビュー(Pickering 2018)が分かりやすく整理しています。CYP1A2(カフェインを分解する酵素)やADORA2A(眠気物質の受容体)の遺伝子型によって、運動効果が出やすい人と、逆にパフォーマンスが下がる方向に働く人がいるという内容です。リセット後の再導入時に「以前より効きすぎる」「動悸が強い」と感じる人は、遺伝的に感受性が高いタイプの可能性があります。低用量で十分効くなら、そこに留めておくのが賢明です。遺伝子型ごとに運動効果が真逆になるメカニズムや、自分のタイプを判定するセルフチェックは カフェインが効かない・効きすぎるのはなぜ?体質と遺伝子で決まる個人差を解説 で詳しく整理しています。

再導入後の使い分けルール

リセット効果を長持ちさせるための運用ルールです。

  • 重要日(大会・MAX狙い):体重1kgあたり最大6mgまで(70kg超は400mgで頭打ち)
  • 通常のトレ日:体重1kgあたり2〜3mg(60kgなら120〜180mg)
  • 休養日:基本ゼロまたはデカフェ。どうしても眠いときだけ50〜100mg
  • 夕方以降:原則ゼロ(睡眠を守るため)

ISSN 2021が示す3〜6mg/kgの上限と1日400mgの安全ラインを守れば、リセット後の感受性を半年〜1年単位で維持できます。

よくある質問

Q. デカフェコーヒーや緑茶でもリセット効果はある?

完全リセットを狙うなら、デカフェ(カフェイン残量5mg程度)はOKですが、緑茶(150mlで約20mg)や紅茶(約30mg)は意外と累積するので注意してください。1日500ml飲めば緑茶でも70mg近くなり、Juliano 2004の指摘通り100mgからでも依存は形成されます。完全断ち期間中は、麦茶・ルイボスティー・ハーブティーが安心です。

Q. プレワークアウトサプリのカフェインも完全断ちすべき?

大会や重要なMAX日に効きを最大化したいなら、プレワークアウトも含めて2週間完全断ちがベストです。プレワークアウトには150〜400mgのカフェインが含まれるものが多く、これを継続摂取すると耐性形成のスピードが早まります。リセット期間中はカフェインフリーのプレワークアウト(シトルリンマレートやベタアラニンのみ)に切り替えるのが現実的です。

Q. 断ち中にトレ強度は落ちる?

最初の3〜5日は明らかに落ちる人が多いです。Juliano 2004の離脱症状(疲労感・集中力低下)とLara 2019の効果減弱期が重なる時期で、トレに乗り気になれない・MAXが伸びないのが普通です。1週間を過ぎたあたりから徐々に戻り、2週間後には離脱前と同等以上のパフォーマンスに戻ることが多いです。リセット期は強度ではなくフォーム確認やボリューム維持に振るのが正解です。

Q. サイクリングは全員必要?

必要ありません。Carvalho 2022の60件統合分析では、習慣摂取量と急性効果の交互作用は確認されていません。1日200mg以下の中程度摂取者には、サイクリングのメリットはほとんど見込めないのが正直なところです。Lara 2019・Wilk 2019の耐性形成データが当てはまるのは、3mg/kg以上を毎日飲み続ける重度習慣摂取者と考えてください。

Q. 完全断ち何日で受容体は元に戻る?

明確な数字は研究上まだ確立していませんが、離脱症状が消える7〜9日(Juliano 2004)が部分的回復の目安、Lara 2019が示す15〜18日でほぼフルリセットと考えるのが妥当です。重度習慣摂取者ほどリセットに時間がかかる傾向があります。「最低1週間、できれば2週間」を目標にしてください。

まとめ

  • 耐性は受容体が増えることで形成される:気合や慣れではなく、脳の構造変化として実体がある
  • 20日連続摂取で運動効果は減弱する:3mg/kg/日で15〜18日かけて効果が弱まる(Lara 2019)。日常400mg超では筋トレ効果が完全消失(Wilk 2019)
  • 4日程度の短期では耐性は出ない:6mg/kg×4日連続でも翌日3.5%のタイム短縮維持(Morales 2020)
  • 離脱症状は12〜24時間で発症、2〜9日で消失:頭痛が約50%で発生、100mg/日からでも出る(Juliano 2004)
  • 副作用には部分的に耐性ができる:血圧上昇は8日で耐性、神経過敏・不眠・尿量増は耐性なし(Ruiz-Moreno 2020)
  • 直前8時間断ちでも効果は戻る可能性:習慣摂取者でも直前離脱で運動効果再現(Griest 2023)
  • 習慣摂取者でも急性効果は出るという最新分析:60件統合分析で習慣量と急性効果に交互作用なし(Carvalho 2022、Gonçalves 2017、Clarke 2021)
  • サイクリングは重度習慣摂取者向けの戦略:1日400mg超を毎日飲む人に有効、200mg以下なら不要
  • リセット後は2mg/kgから再開:感受性が戻っているため低用量で十分効く。9mg/kg超は副作用増のみで効果頭打ち(Guest 2021)
  • 全体像を俯瞰するには:効果・量・タイミング・副作用・体質差・併用ルールを横断的にまとめた カフェイン×筋トレ完全ガイド|効果・量・タイミング・副作用 で、本記事の位置づけも見えてくる

カフェイン耐性は「変えられない習慣」ではなく、止めれば段階的にリセットできる物理的な現象です。「重要な日だけ効かせる」設計に切り替えるだけで、コーヒー1杯の感動を半年〜1年単位で維持できるようになります。毎日400mgを惰性で続けて効きを失っているなら、まず週末だけのデカフェ運用から始めてみてください。

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参考文献

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