ベータアラニンフラッシュ(ピリピリ)はなぜ?正体・対処法を解説
「飲んだ瞬間に顔と手のひらがチリチリして電気が走ったみたい」「これって大丈夫…?」ベータアラニン初日でいちばん多い驚きです。
じつはピリピリ(ベータアラニンフラッシュとも呼ばれます)は神経受容体に結合した正常な反応で、効果のあるなしとは無関係です。やめなくても、抑える方法があります。
パーソナルトレーナー歴8年の私が、ベータアラニンに関する最新のヒト研究と現場の体感を突き合わせて、詳しく解説します。
※本記事は学術研究の紹介を目的としたもので、医療行為や治療を推奨するものではありません。持病のある方、医師の処方薬を服用中の方は、サプリメント摂取前に必ず医師にご相談ください。
ベータアラニンのピリピリ感(ベータアラニンフラッシュ)って何?まずは結論
いちばん知りたいことから先にお答えします。ベータアラニンのピリピリは、「出ても問題ないけれど、わざわざ出す価値はない」というのが現時点の科学的な結論です。
なお、この現象は「ベータアラニンのピリピリ感」「ベータアラニンフラッシュ」「パレステジア」と複数の呼ばれ方をしますが、すべて同じ現象を指します。本記事ではいちばん馴染みのある「ピリピリ」を中心に、随所で「フラッシュ」も併記して進めます。
飲んで5〜15分後に顔・手のひら・首・耳のあたりがチリチリ、ザワザワする感覚は、皮膚の感覚神経にあるMrgprDという受容体にベータアラニンが結合して起きる、一時的で正常な反応です。アレルギーでも中毒でも、内臓のダメージでもありません。
もう少し具体的に整理すると、次の4つにまとまります。
- 出ても体に悪くない:かゆみを感じる神経の受容体に一時的に結合しているだけで、皮膚や臓器が傷ついているわけではない
- 持続時間は短い:5〜15分で出て、30〜60分でほぼ消える一過性(Décombaz 2012)
- 効果はピリピリの有無では決まらない:効くか効かないかを左右するのは「累積で何g飲んだか」だけ。ピリピリが強い人も弱い人も、同じ総量を摂れば効果はほぼ同じです(Stellingwerff 2012、Bellinger 2016、Décombaz 2012)
- 抑えても効果は落ちない:1回800mg以下に分けて飲むか、徐放型の錠剤を選べば、ピリピリを抑えながら同じ効果が得られます(Trexler 2015、Décombaz 2012)
つまり「ピリピリは出ていても、出ていなくても、効きは同じ」です。我慢して続ける必要も、ピリピリを目標にする必要もありません。気になるなら抑える、気にならないならそのまま、どちらでも累積摂取量さえ確保できれば効果は変わりません。ここから「なぜ出るのか」「どう抑えるか」を順に見ていきます。
なぜ顔・手のひら・首にピリピリ(フラッシュ)が出るのか
ピリピリ感(ベータアラニンフラッシュ)は「謎の副作用」ではなく、神経科学のレベルではすでに正体がはっきりわかっています。2012年に発表された研究で、原因となる受容体まで特定されました。
MrgprDという「かゆみ専用」の受容体に結合する
原因は、皮膚の感覚神経に存在するMrgprDという受容体(マウスとヒトに共通するかゆみ専用のセンサー)です。これは「かゆみ」を伝える役割を持つ受容体で、虫刺されや軽い接触で痒くなるあの感覚を司っています。
マウスを使った実験とヒトの皮内注射を組み合わせた研究(Liu 2012)では、ベータアラニンがこのMrgprD受容体に直接結合してかゆみ・ピリピリ感を引き起こすことが示されました。MrgprD受容体を持たないように改変したマウスにベータアラニンを注射しても、かゆみ行動はまったく起きませんでした。一方、ヒトの皮膚にベータアラニン水溶液を皮内注射すると、健常者全員でチリチリしたかゆみが再現されています。
口から飲んだベータアラニンが血液にのって全身に運ばれ、皮膚にある神経のMrgprD受容体に届くと、神経が「かゆい・チリチリする」という信号を脳に送る。これがピリピリ感の正体です。
アレルギーや乳酸とは無関係
勘違いされやすいのですが、ベータアラニンのピリピリはアレルギー反応(ヒスタミン経由)ではないことが確認されています。アレルギーであれば、ヒスタミンが放出されて赤いブツブツ(じんましん)や膨疹(盛り上がった発赤)、まぶたの腫れなどが出ます。
Liu 2012の研究では、ベータアラニンによるかゆみがMrgprDという「ヒスタミンを介さない経路」を通ることがはっきり示されました。実際、ピリピリしている最中の皮膚に発赤や膨疹は出ません。出ているのは「チリチリ・ザワザワする感覚」だけです。
また、「運動後の乳酸と関係あるのでは?」と尋ねられることもありますが、乳酸とも関係ありません。安静時に飲んでも同じようにピリピリは出ます。あくまで神経受容体への一過性の結合反応です。
部位差の正体:MrgprD受容体が集中している場所
「顔と手のひらだけピリピリする」「首と耳の裏だけザワザワする」という体感には、ちゃんと理由があります。MrgprD受容体は皮膚の中でも特定の部位に密集しているからです。
- 手のひら・足の裏:感覚神経が密集している場所。MrgprD受容体も多い
- 顔・耳・首:皮膚が薄く神経が表層に近いため、感覚として拾いやすい
- 背中・お腹・太もも:受容体密度が低めで、ピリピリを感じにくい
つまり「全身一様にピリピリする」のではなく、神経が密集している部分だけ強く感じる、というのが正常な出方です。最初は手のひらだけだったのに数日後には頭皮までピリピリする、というケースもあります。これは自分の体の感覚に敏感になっただけで、危険な反応が新しく起きているわけではありません。
ピリピリが出やすい3つの条件
同じ用量を飲んでも、ピリピリが強烈に出る日とほとんど出ない日があります。これは気のせいではなく、血中濃度がどれくらい急に上がったかで決まります。ピリピリが出やすい条件は次の3つに集約されます。
条件1:1回800mgを超える量を一気に飲んだ
もっとも大きな要因は、1回あたりの摂取量です。経口摂取後のベータアラニンの動きを精密に追った研究(Harris 2006)では、1回の摂取量が増えるほど血中ピーク濃度が急激に高くなり、それに比例してピリピリ感が強くなることが示されました。
スポーツ栄養の国際学会ISSNがまとめた公式見解(Trexler 2015)でも、1回あたり800mg(0.8g)を超えるとピリピリが出やすくなると明記されています。つまり1日4g飲みたいなら、1回4gをドンと飲むのではなく、800mg×5回や1.6g×3回のように分けたほうがピリピリは出にくくなります。
市販のプレワークアウト1スクープに2〜3g入っているような製品を空腹で一気飲みすると、ほぼ確実に「電気が走ったような」強烈なピリピリが出ます。
条件2:空腹時に水だけで飲んだ
2番目に影響が大きいのが、摂取するタイミングです。空腹時に水だけで飲むと、ベータアラニンの吸収速度が最大化し、血中濃度のピークが鋭く立ち上がります。これがピリピリの強さに直結します。
逆に、食後や食事と一緒、あるいはプロテインやヨーグルトなどに混ぜて飲むと、消化管での吸収がゆっくりになり、血中濃度のピークが穏やかになります。同じ用量でも体感はかなり軽減されます。
条件3:体格に対して用量が多すぎる
3番目は、体重に対しての相対的な用量です。同じ4gでも、体重50kgの人と体重90kgの人では血中濃度がまったく違います。体重が軽い人ほどピリピリが出やすいのは当然の理屈です。
目安としては体重1kgあたり10mg前後(Trexler 2015)が、ピリピリと効果のバランスが取れた1回量とされています。体重50kgなら1回500mg、体重70kgなら1回700mg前後です。プレワークアウト1スクープが「自分の体格に対して多すぎないか」を確認してみる価値はあります。
「ピリピリ=効いてる証拠」は完全な誤解
SNSやレビューで「ピリピリが強いから効いてる」「ピリピリしないから量が足りない」と書かれているのを見たことがある方も多いはずです。気持ちはわかりますが、これは科学的にはっきり否定されている誤解です。
持続放出型ではピリピリ消失でも筋カルノシン増加は同じ
もっとも有名な反証が、持続放出型(ゆっくり溶ける)錠剤を使った薬物動態研究(Décombaz 2012)です。ベータアラニンを錠剤の中にゆっくり溶け出すように設計して飲ませると、血中濃度のピーク値が通常品の248μmol/Lから82μmol/Lまで大きく下がり、ピークに達する時間も0.5時間から1.0時間に遅れました。その結果、ピリピリ感の強さは偽薬(飲んだものに有効成分が入っていない錠剤)と区別できないレベルまで軽くなったと報告されています。
つまりピリピリは「血中濃度が一気に立ち上がったときの神経反応」であって、ゆっくり吸収させても筋肉への取り込みに必要な血中濃度は維持できる、というのがポイントです。
さらに:徐放型のほうがむしろ筋カルノシン増加が大きかった
もう1本の研究(Varanoske 2019)では、もっと驚く結果が出ています。28日間の摂取で筋カルノシン濃度を比較したところ、ピリピリのほとんど出ない徐放型(SR)のほうが、通常の即放型(RR)よりカルノシン増加量がむしろ大きかったと報告されました。
- 徐放型(SR)グループ:筋カルノシン+50.1%
- 即放型(RR)グループ:筋カルノシン+37.9%
「ピリピリしないと効かない」どころか、ピリピリが出ないほうが効率よく筋肉に蓄えられた、というのが現実のデータです。ゆっくり吸収させたほうが、血中濃度を高いまま長く保てて、結果として筋肉への取り込みが進むと考えられています。
ピリピリ強度とパフォーマンスは無関係
「カルノシンの数値はそうかもしれないけど、実際の運動成績はどうなの?」という疑問にも答えがあります。競技自転車選手8名を対象に、本人にも何を飲んでいるかわからない方法で比較した試験(Bellinger 2016)では、ベータアラニンを1回だけ飲ませてピリピリ感とその後の1km走行タイムを調べました。
結果は、ピリピリ感がはっきり出たにもかかわらず、ベータアラニンを1回飲んでも1km走行のタイムは改善しなかったというものでした。ピリピリの強さは「効いている合図」ではなく、その場で出る神経反応に過ぎないことが裏付けられています。
効果は「総摂取量×期間」で決まる
ベータアラニンの効果がいつ・どれくらい現れるかを精密に解析した研究(Stellingwerff 2012)では、筋カルノシンの増加量はほぼ完全に「1日の用量×継続日数」の総量で決まることが示されました。「累積で何g摂ったか」だけでカルノシンの増加量がほぼ正確に予測でき、ピリピリ感の強さはこの計算に一切関係しません。
初期の代表的な研究(Hill 2007)でも、1日4〜6.4gを継続したときに、筋カルノシンが4週間で+58.8%、10週間で+80.1%と段階的に増えていくことが報告されており、ピリピリの体感とは無関係に時間×量で蓄積していくことが裏付けられています。2024年に発表された訓練男性331名・18件の比較試験を統合した最新の分析(Georgiou 2024)でも、4〜10分間の高強度運動でベータアラニンの効果ははっきり確認されており、効果を引き出すのは「累積摂取量」と「期間」であってピリピリ感の有無ではないことが改めて支持されています。
ピリピリ感は「いま血中濃度が高い」というその瞬間の合図に過ぎず、長期的に筋肉にどれだけ蓄積したかとは別物です。「ピリピリしないけど効いていますか?」の答えは「はい、効いています」でほぼ確定と言えます。なお、「そもそもベータアラニンは本当に効くのか?効かないと感じる4パターンは?」という疑問は ベータアラニンは効果なし?40件の研究で「効く運動/効かない運動」を整理 で解説しています。
ピリピリを抑える5つの対処法
「効果と無関係なら、ピリピリは抑えてしまったほうが続けやすい」と考える方は多いはずです。実際、続けやすさは継続率を左右します。ここでは現場でも論文ベースでも有効性が確認されている対処法を5つ紹介します。
対処1:1回800mg以下に分割(1日4〜6回)
最優先の対処法はこれです。ISSN推奨(Trexler 2015)に従い、1回の摂取量を800mg以下に抑え、1日の合計用量を4〜6回に分割します。たとえば1日4.8gを目標にするなら、800mg×6回。1日4gなら800mg×5回や1g×4回でもOKです。
分割するだけで血中濃度のピークが下がるため、ピリピリ感は劇的に軽くなります。「面倒だな」と感じるかもしれませんが、朝・昼・夕食時など食事のタイミングに合わせれば、思ったほど負担になりません。体重別の1回量や1日の分割パターンの組み立て方は ベータアラニンの摂取量|1日何g・いつ・何週間?ローディング不要を解説 で詳述しています。
対処2:食後に飲む(吸収速度を緩やかにする)
2つ目は、食事と一緒に飲むことです。胃の中に食べ物がある状態だと、ベータアラニンの吸収はゆっくりになり、血中濃度のピークが穏やかになります。朝食・昼食・夕食の直後に分けて飲むだけで、空腹時に飲んだときよりかなり楽になります。
対処3:持続放出型(SR CarnoSyn)の錠剤を選ぶ
3つ目は、剤形そのものを変えることです。持続放出型(SR:Sustained Release)と呼ばれる錠剤は、消化管の中でゆっくり溶けていくよう設計されているため、血中濃度のピークが穏やかになります。
前述のDécombaz 2012ではピリピリがほぼ消えたうえに筋カルノシン増加は同等、Varanoske 2019ではむしろカルノシン増加が大きかったと報告されています。さらに2023年の比較試験(Maestre-Hernández 2023)では、徐放型のベータアラニンを通常の3倍量にあたる1日15gまで増量しても、ピリピリ感は主観スケールで10点満点中3点未満と軽度にとどまったと報告されています。「どうしてもピリピリが苦手」という方は剤形を変える価値があります。
対処4:冷水よりぬるま湯やヨーグルトに混ぜる(体感緩和の生活Tips)
4つ目は、論文レベルではないものの現場で有効な生活Tipsです。粉末をそのまま冷水で一気飲みすると、口の中・喉でも吸収が早まる感覚があります。ぬるま湯、ヨーグルト、プロテインシェイク、オートミールなどに混ぜて飲むと体感が緩和される方が多いです。空腹時の水だけで一気飲み、を避けるイメージで十分です。
対処5:1日2g→4g→6gと2週間ずつ漸増する
5つ目は、最初から目標用量を飲まずに段階的に増やすことです。1〜2週目は1日2g、3〜4週目は1日4g、5〜6週目以降に1日6gといった具合に、体を慣らしながら増やします。神経の反応にも順応があり、同じ用量でも回を重ねるごとにピリピリ感は弱くなっていくことが多いです。
「最終的に1日4〜6gの累積量に到達すれば効果は同じ」(Stellingwerff 2012)なので、初日からトップギアで入る必要はありません。
私自身、初日に4gを空腹で水だけで一気飲みして、5分後に顔と耳まで真っ赤になりました。妻に「何それ、アレルギーじゃない?」と本気で心配されたほどです。翌日から1回800mgを朝昼晩+トレ前の4回に分割したところ、3日もしないうちにピリピリはほぼ気にならないレベルまで落ち着きました。あくまで個人の体感ですが、研究データの「分割で抑えられる」と完全に一致しました。
ピリピリの持続時間と「やめるべきサイン」
ピリピリが「いつ出て、いつ消えるか」を把握しておくと、不安はかなり減ります。同時に、「これは普通のピリピリではない、すぐにやめるべきサイン」も知っておく必要があります。
通常は5〜15分で出て30〜60分で消える
経口摂取後の血中濃度の動きを精密に追った研究(Décombaz 2012)では、通常の粉末を飲んだ場合、ピリピリ感(pins and needles)が立ち上がるのは摂取からおよそ15分後と報告されています。血中濃度のピークは30分前後で、ピリピリ感はこのタイミングと連動して立ち上がり、血中濃度が下がるにつれて30〜60分でほぼ消えていきます。
「飲んでから30分後に出てきた」「2時間後にもまだピリピリしている」という場合は、別の原因を疑う必要があります。
セルフチェック:こんな症状が出たらすぐに中止して医師相談
以下の症状はベータアラニンの通常のピリピリ感とは異なります。該当する場合はすぐに摂取を中止し、医療機関にご相談ください。
- 呼吸困難・喉の違和感・声のかすれ:アナフィラキシーの初期症状の可能性
- 顔・まぶた・唇の腫れ:アレルギー反応(血管性浮腫)の可能性
- 全身に広がる赤いブツブツ・じんましん:アレルギー反応の可能性
- 強烈な動悸・めまい・意識が遠のく感じ:別成分または重篤反応の可能性
- 数時間〜翌日まで症状が続く:ベータアラニン以外の原因の可能性
101本のヒト試験を統合した安全性レビュー(Dolan 2019)では、ベータアラニン摂取群と偽薬を飲んだグループで脱落率に有意な差はなく、ピリピリ感は「報告されているが、研究から脱落するほど深刻な有害事象ではない」と結論されています。ただしこれはあくまで平均的なケースであり、まれに上記のような重篤反応が出る方もいるため、初日は無理せず少量から始めることをおすすめします。
日が経っても消えない・強くなる場合は別の原因を疑う
ベータアラニンを飲み続けるうちに「ピリピリではない別の感覚」が出てきた、というケースもまれにあります。たとえば四肢のしびれが数時間続く、特定の部位だけ感覚が鈍くなるなどは、ベータアラニンとは別の原因が考えられます。
よくある質問
Q. ピリピリしないけど効いていますか?
はい、ほぼ確実に効いています。ピリピリ感は血中濃度のピーク時に出る一時的な神経反応で、筋肉中のカルノシン蓄積とは別物です。Décombaz 2012では徐放型でピリピリ感が偽薬と区別できないレベルまで軽くなったうえに、Varanoske 2019では徐放型のほうがむしろ筋カルノシン増加が大きい(+50.1% vs +37.9%)と報告されています。Bellinger 2016の比較試験でも、ピリピリ感が出てもベータアラニンを1回飲んだだけでは1km走行タイムの改善に結びつきませんでした。1日4〜6gを4週間以上続けていれば、ピリピリの有無に関係なく効果は出ています。「飲んでもまったく体感がない」というケースについては ベータアラニンは効果なし?40件の研究で「効く運動/効かない運動」を整理 で原因を4パターンに整理しています。
Q. ピリピリが強くて続けるのが辛い、休んでもいい?
続けるのが辛いと感じるレベルなら、いったん用量を減らすか剤形を変えることを優先してください。完全に休む必要はありません。1回800mg以下に分割する、食後に飲む、徐放型の錠剤に変える、1日2gから始めて2週間ずつ漸増する、のいずれかでほぼ改善します。最終的な累積摂取量さえ確保できれば、ペースが多少ゆっくりでも効果は同じです(Stellingwerff 2012)。「ピリピリに耐えれば効く」というのは誤解なので、無理せず自分に合った飲み方を探してください。
Q. プロテインに混ぜて飲んでも大丈夫?
はい、問題ありません。むしろプロテインやヨーグルトに混ぜることで吸収が緩やかになり、ピリピリが軽減されることが多いです。タンパク質との相互作用は確認されておらず、ベータアラニンの吸収率にも目立った影響はありません。タイミングよりも「1日の合計用量×日数」のほうが重要なので、プロテインを飲むタイミングに合わせて分割するのは合理的な摂取方法と言えます。
Q. EAAサプリでピリピリするのもベータアラニンが原因?
はい、ほぼ確実にそれが原因です。市販のEAA、特に「EAA9」と表記されている製品の多くにはベータアラニンが補強成分として配合されています。プレワークアウト系の製品ではさらに高確率です。製品の成分表示で「βアラニン」「ベータアラニン」「β-Alanine」「CarnoSyn」のいずれかが記載されていれば、ピリピリの原因はそれと考えてほぼ間違いありません。記載がないのにピリピリする場合は、ナイアシン(ビタミンB3)など別成分を疑ってください。
Q. 顔だけ赤くなるのですが、これもピリピリの一種ですか?
顔だけ赤くなる場合は、ベータアラニンのピリピリではなくナイアシンフラッシュの可能性が高いです。ベータアラニンによるピリピリは「皮膚の色は変わらず、チリチリ・かゆい感覚だけが出る」のが特徴です(Liu 2012)。一方、ナイアシン(ビタミンB3)は皮膚の血管を広げる作用があり、顔・首・胸が赤くなり熱くなる「紅潮」を引き起こします。製品にナイアシンが含まれていないか確認してみてください。両方含まれている製品もあるため、両方同時に出ることもあります。
Q. どれくらい続ければピリピリに慣れますか?
個人差は大きいですが、現場の体感では1〜2週間で多くの方が気にならないレベルまで落ち着きます。これは神経反応に順応が起きるためで、同じ用量でも回を重ねるごとに体感が薄れていくことが多いです。1〜2週間経ってもピリピリが辛い場合は、1回の用量を800mg以下に分割するか、徐放型の錠剤に切り替えることを試してみてください。それでもダメな場合は、その用量自体が体格に対して多すぎる可能性があります。
まとめ
最初に押さえてほしい結論はシンプルです。
- ピリピリは「出ても出なくても、効きは同じ」:効果はピリピリの強弱で変わらない。我慢する必要も、わざわざ出そうとする必要もない
- 正体は皮膚の神経が一時的に反応しただけ:皮膚や臓器が傷つくわけではなく、アレルギーでもない(Liu 2012)
- 「ピリピリ=効いてる」は誤解:徐放型ではピリピリが偽薬並みに軽くなるが効果は同等以上に保たれ(Décombaz 2012、Varanoske 2019)、1回飲んだだけのパフォーマンスとも無関係(Bellinger 2016)
- 効果は「累積で何g飲んだか」だけで決まる:1日の量×日数の総量がほぼ全て、ピリピリの強弱は関係しない(Stellingwerff 2012、Hill 2007)
そのうえで、出やすい条件と抑え方を覚えておけば対応は簡単です。
- 出やすい3条件:1回800mg超/空腹時に水だけ/体格に対して量が多すぎ。逆をやれば抑えられる(Harris 2006、Trexler 2015)
- 抑える5つの方法:①1回800mg以下に分割/②食後に飲む/③徐放型錠剤を選ぶ/④ぬるま湯やヨーグルトに混ぜる/⑤2g→4g→6gと漸増
- 出やすい部位は手のひら・顔・首・耳:かゆみ専用のMrgprD受容体が密集している場所だから
- 持続時間は5〜15分で出て30〜60分で消える:それより長引く、強い赤みや顔の腫れが出る場合はアレルギーを疑い医療機関へ
そして、安全性もセットで把握しておくと安心です。
- 安全性は確立されている:101本のヒト試験を統合した分析で、ピリピリによる脱落率は偽薬と同等。深刻な有害事象ではない(Dolan 2019)
ピリピリは「やめる理由」にはならないけれど、強烈に出るなら「飲み方を整えるヒント」にはなる、という二段構えで捉えてください。ピリピリが出ていても危険ではないので、気にならなければそのままでOKです。一方で、毎回つらいと感じるなら「1回量が多すぎるのかも」「空腹で飲みすぎたかも」というシグナルとして受け取り、分割や徐放型に切り替えれば楽になります。どちらの飲み方を選んでも、累積摂取量さえ確保できれば効果は同じです。
【次に読むべきおすすめ記事】
ピリピリの正体と対処法がわかったら、次は「そもそもベータアラニンは本当に効くのか」「他のサプリとどう組み合わせるか」もチェックしておきましょう。
ベータアラニンの効果をさらに深掘りしたい方
- 効くか効かないかの条件と「効かない4パターン」を知りたい → ベータアラニンは効果なし?40件の研究で「効く運動/効かない運動」を整理
- 1日何g・いつ・何週間飲むか飲み方の全体像を知りたい → ベータアラニンの摂取量|1日何g・いつ・何週間?ローディング不要を解説
副作用・安全性の全体像を知りたい方
- 肝臓・腎臓・タウリン・ドーピング・上限量など、ピリピリ以外の安全性を知りたい → ベータアラニンの副作用は?肝臓・腎臓・肌荒れ・上限量を最新研究で正直に解説
参考文献
FitOnlineでは数千件のフィットネス関連論文を解析し、その内容をひとつずつ人間が確認したうえでデータベース化しています。このデータベースからあなたの疑問や悩みに直接答える検索エンジン「FitOnline Lab」もご活用ください。
-
Liu Q, Sikand P, Ma C, Tang Z, Han L, Li Z, Sun S, LaMotte RH, Dong X. Mechanisms of itch evoked by β-alanine.
Journal of Neuroscience. 2012;32(42):14532-14537.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23077038/ -
Harris RC, Tallon MJ, Dunnett M, Boobis L, Coakley J, Kim HJ, Fallowfield JL, Hill CA, Sale C, Wise JA. The
absorption of orally supplied beta-alanine and its effect on muscle carnosine synthesis in human vastus lateralis.
Amino Acids. 2006;30(3):279-289.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16554972/ -
Trexler ET, Smith-Ryan AE, Stout JR, Hoffman JR, Wilborn CD, Sale C, Kreider RB, Jäger R, Earnest CP, Bannock L,
Campbell B, Kalman D, Ziegenfuss TN, Antonio J. International society of sports nutrition position stand:
Beta-Alanine.
Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2015;12:30.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26175657/ -
Décombaz J, Beaumont M, Vuichoud J, Bouisset F, Stellingwerff T. Effect of slow-release β-alanine tablets on
absorption kinetics and paresthesia.
Amino Acids. 2012;43(1):67-76.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22139410/ -
Varanoske AN, Hoffman JR, Church DD, Coker NA, Baker KM, Dodd SJ, Harris RC, Oliveira LP, Dawson VL, Wang R,
Fukuda DH, Stout JR. Comparison of sustained-release and rapid-release β-alanine formulations on changes in
skeletal muscle carnosine and histidine content and isometric performance following a muscle-damaging protocol.
Amino Acids. 2019;51(1):49-60.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30003336/ -
Bellinger PM, Minahan CL. Performance effects of acute β-alanine induced paresthesia in competitive cyclists.
European Journal of Sport Science. 2016;16(1):88-95.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25636080/ -
Stellingwerff T, Decombaz J, Harris RC, Boesch C. Optimizing human in vivo dosing and delivery of β-alanine
supplements for muscle carnosine synthesis.
Amino Acids. 2012;43(1):57-65.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22358258/ -
Hill CA, Harris RC, Kim HJ, Harris BD, Sale C, Boobis LH, Kim CK, Wise JA. Influence of beta-alanine
supplementation on skeletal muscle carnosine concentrations and high intensity cycling capacity.
Amino Acids. 2007;32(2):225-233.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16868650/ -
Dolan E, Swinton PA, Painelli VS, Stephens Hemingway B, Mazzolani B, Infante Smaira F, Saunders B, Artioli GG,
Gualano B. A Systematic Risk Assessment and Meta-Analysis on the Use of Oral β-Alanine Supplementation.
Advances in Nutrition. 2019;10(3):452-463.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30980076/ -
Georgiou GD, Antoniou K, Antoniou S, Michelekaki EA, Zare R, Ali Redha A, Prokopidis K, Christodoulides E,
Clifford T. Effect of Beta-Alanine Supplementation on Maximal Intensity Exercise in Trained Young Male
Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis.
International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. 2024;34(6):397-412.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39032921/ -
Maestre-Hernández AB, Pérez-Piñero S, López-Román FJ, Andreu-Caravaca L, Luque-Rubia AJ, Ramos-Campo DJ,
Díaz-Silvestre MJ, Ávila-Gandía V. Effect of a sustained-release formulation of β-alanine on laboratory
parameters and paresthesia in recreational trained men: a randomized double-blind placebo-controlled study.
Frontiers in Nutrition. 2023;10:1213105.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37766731/
※本コンテンツはFitOnlineコンテンツ制作・運営ポリシーに沿って作られています。コンテンツに関するお問い合わせはこちらよりお願い致します。
この記事を書いた人
フィット
- 2014年7月 筋トレスタート(歴10年)
- 2018年5月 パーソナルトレーナースタート(歴7年)
- 2019年6月 社内で最速級の速さで店長へ就任
- 2020年4月 フリーランスパーソナルトレーナーとして独立
- 2022年7月 株式会社FITONLINE設立
- 2026年3月 FitOnline Labを開発。2,000以上のフィットネス関連論文を査読。
- 2026年7月 FitOnlineで試飲したプロテイン28ブランド・276フレーバー
- パーソナルトレーナーとして最高月収150万円達成
- 実際に飲んで試してきたプロテインの種類50種類以上、サプリメント30種以上
- ANYTIME、JOYFIT、FASTGYM、ゴールドジム、FIT PLACE、東急スポーツオアシスなど計10以上の大手ジム利用経験あり
- 通算1,000名以上のお客様へカウンセリング・セッション
- お客様の最高減量幅34kg
関連記事
コメント
コメントを投稿するには会員登録(ログイン)が必要です。
ログインする