BCAAは1日何グラム?体重別・目的別の量をグラム単位でガイド

BCAAは1日何グラム?体重別・目的別の量をグラム単位でガイド

「1日何グラム飲めばいい?」「体重別の量は?」「プロテインも飲んでるけど重複してる?」

結論は「1回1.5〜3g、1日15gが目安」。ただし体重・目的で最適量は変わります。13論文と現場感から、体重別早見表・カロリー計算・プロテイン重複まで具体g数で整理しました。

筋トレ歴12年・トレーナー歴8年、私自身12年前は「多ければ効く」と1日30gを2年続けた失敗があります。今は5〜10gに落ち着きました。判断の根拠を論文と現場感の両面から整理します。

※本記事は学術研究の紹介を目的としたもので、医療行為や治療を推奨するものではありません。持病をお持ちの方・服薬中の方は、必ず主治医にご相談のうえご判断ください。

※BCAAの効果・飲み方・副作用まで全体の地図を先に押さえたい方は、 BCAAとは?効果・飲み方・量・タイミング・副作用の完全ガイド からご覧ください。

BCAAの基本摂取量|「1回1.5〜3g、1日15gが目安」の科学的根拠

まずは結論の目安から。国際的な専門家集団と主要な論文を突き合わせると、現実的な摂取量の中心は1回1.5〜3g、1日合計15g以内に収まります。この数字の出どころを順に見ていきます。

国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解

スポーツ栄養の国際的な専門家集団である国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2023年に発表した公式見解(Ferrando 2023)では、BCAAを含む必須アミノ酸(EAA)の使用量について、1回1.5〜3gからスタートし、1日15〜18gあたりで効果が頭打ちになると整理されています。BCAAはEAAの一部なので、この目安はBCAA単体を選ぶときの実用ラインとしてもそのまま使われています。これ以上増やしても体感や数値がそれほど伸びない、という意味です。

この範囲は「健康な成人が運動のパフォーマンスや回復を狙って使う場合」を想定しています。治療目的や特殊な疾患下での用量とは別物です。

1回量と1日合計量の考え方

先に1点だけ整理させてください。このあと本記事では、BCAAの「1回量」として1.5〜3g5〜10gという2種類の数字が出てきます。これは測っている効果が違うためです。

  • 持久運動中のちびちび補給・中枢性疲労対策が目的:1回1.5〜3gを数回に分ける(ISSNの実用的最低ライン)
  • 筋肉痛軽減・筋タンパク合成を狙うのが目的:1回5〜10gでロイシン閾値2.5〜3gを満たす(Witard 2014・Zaromskyte 2021)

つまり同じ「1回量」でも、運動中に血中を支える小分け量と、合成スイッチを入れる一撃量は別物です。以降の数字はこの区別を前提に読んでください。

「1日15g」と言われても、1回で飲むのか分けて飲むのかで体感が変わります。現場で扱いやすい配分は次の3パターンです。

  • 5g×3回:1日に3回へ分割し、持続的に血中レベルを保ちたい人向け
  • 10g×1回:1日1回にまとめたい、時間のない社会人トレーニーの現実解
  • 5gのみ:筋肉痛対策や女性の体格なら1回5gでも十分な効果が報告されています

女性12名を対象にした比較試験(Shimomura 2010)では、運動前の単発5g(体重1kgあたり100mg)だけでも筋肉痛のピークが下がっています。「毎日きっちり15g」に縛られる必要はありません。

「2,000mg以上」という日本でよく言われる数字の正体

国内のサプリパッケージや記事では「1回2,000mg以上」という表記をよく見ます。この数字は明確な1本の論文から来ているわけではなく、実務的な最低ラインとして定着したものに近いです。過小評価ではありませんが、ISSNの「1回1.5〜3g」の範囲とおおむね一致するため、実用上は大きな矛盾はありません。

ただし「2g飲んでおけば十分」ではなく、目的や体重によってはもう少し上乗せしたほうが体感が変わるケースもあります。具体量は次のH2の早見表で確認してください。

正直に告白します。12年前の私は「多ければ多いほど効く」と信じて、1日30gのBCAAを2年ほど飲み続けていました。結果、財布は軽くなる、お腹は緩くなる、筋肉は大して変わらない。ISSNの「15gで頭打ち」を知ったとき、自分の2年間が一気に報われない気持ちになりました。今は5〜10gに落ち着いています。体感も数字もその方が安定します。

フィット

体重1kgあたりで計算する|目的別の早見表

「1日15g」は標準体型の成人を想定した数字です。体重40kgの女性と90kgの男性が同じ量を飲むのは不自然で、体重1kgあたりで換算したほうが実態に合います。ここでは目的別の計算式と、そのまま使える早見表を用意しました。

健康維持なら体重1kgあたり85mg

特に運動しない日や健康維持目的の最低ラインとして、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の必須アミノ酸推奨値を合計すると、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)は体重1kgあたり約85mgになります。体重60kgなら1日約5gに相当します。

これは「サプリで追加する量」ではなく「食事+サプリの合計で確保したい量」です。普通に食事を摂っていればまず足りています。

運動する人は体重1kgあたり100mg前後

筋トレや習慣的な運動をしている人の目安は、体重1kgあたり約100mgです。女性12名を対象にした比較試験(Shimomura 2010)で、体重1kgあたり100mgのBCAAを運動前に飲むだけで、2〜3日後の筋肉痛のピークが大きく低下した用量が根拠になっています。

体重50kgなら1回5g、体重70kgなら1回7gです。トレ前または直後の単発摂取で効果が出る、現実的なラインといえます。

回復目的なら体重1kgあたり0.087g

エキセントリック運動(筋肉を引き伸ばしながら力を出す動作)で発生する筋肉ダメージの回復を狙うなら、体重1kgあたり約0.087g(87mg)が1つの基準です。レジスタンストレーニング経験者16名を対象にした比較試験(Waldron 2017)で用いられた量で、バリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1の比率で処方されました。

体重70kgなら1日約6g。これも決して多い量ではありません。

減量中は体重1kgあたり0.4g

カロリー制限下で筋肉を守るなら、体重1kgあたり約0.4gまで引き上げた報告があります。男性17名を8週間追跡した比較試験(Dudgeon 2016)では、減量中にBCAAを1日28g飲んだグループ(被験者体重換算で体重1kgあたり約0.4g)が除脂肪量を維持できたと報告されています。

ただし28g/日はISSNの目安15g/日を大きく超える量です。Dudgeon 2016のような短期集中プロトコルの範囲では安全性の問題は報告されていませんが、長期間続ける量ではありません。減量末期の数週間限定という使い方が現実的です。

体重別・目的別の早見表

自分の体重の行を見て、目的の列の量を基準にしてください。

体重 健康維持(85mg/kg) 運動時(100mg/kg) 回復目的(0.087g/kg) 減量中(0.4g/kg)
40kg 約3.4g 約4.0g 約3.5g 約16g
50kg 約4.3g 約5.0g 約4.4g 約20g
60kg 約5.1g 約6.0g 約5.2g 約24g
70kg 約6.0g 約7.0g 約6.1g 約28g
80kg 約6.8g 約8.0g 約7.0g 約32g
90kg 約7.7g 約9.0g 約7.8g 約36g

会員指導で体重別の実感を見てきた印象はシンプルです。50kg前後の女性は1日5gで「筋肉のハリが残る」と言い、80kg超の男性は1日5gだと「飲んだかどうか覚えていない」と言います。量を体重で割る発想を持つだけで、「足りない・ちょうどいい・多すぎ」の境目がはっきりします。あくまで主観ですが、早見表の数字と現場の声はかなり一致します。

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ロイシン2〜3gの閾値|BCAAの中でも「合成スイッチ」の中核

BCAAを語るうえで避けて通れないのがロイシンの話です。BCAAの3種の中でも、ロイシンだけが筋肉合成のスイッチを押す役割を持っていることが分かっています。「何g飲むか」と同じくらい「ロイシンを何g摂るか」が重要です。

ロイシンは筋肉合成の「スイッチ」

若年男性48名を対象にした比較試験(Witard 2014)では、ホエイプロテイン20g(ロイシン約2.5g相当)を運動後に飲んだ時点で、筋肉合成速度がほぼ最大まで上がることが報告されました。40gに増やしても追加の上昇はわずかで、「ロイシン2.5gが合成スイッチの下限」という解釈が広まりました。

全卵タンパク質20gでも同様に合成がほぼ頭打ちになる報告(Moore 2009)があり、単独のタンパク源でもブレが小さい数字です。

「ロイシン3g」の根拠

高齢者や安静時の被験者まで視野に入れた論文レビュー(Zaromskyte 2021)では、1回あたりロイシン3gが筋肉合成の最大化に必要と整理されています。年齢が上がるほど合成反応が鈍くなるため、若年者よりやや多めのロイシンが必要になる、というのが現在の主流見解です。

「BCAA 5g」のうちロイシンは何g?

市販BCAAの多くはバリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1の比率で作られています。つまりBCAA 5gのうちロイシンは約2.5g、BCAA 6gならロイシン約3gです。

  • BCAA 5g(2:1:1):ロイシン約2.5g → Witard 2014の閾値に到達
  • BCAA 6g(2:1:1):ロイシン約3g → Zaromskyte 2021の高齢者基準もカバー
  • BCAA 10g(2:1:1):ロイシン約5g → 理論上の上限を超えるので過剰気味

「飲むなら1回5〜6g」という目安は、ロイシンの閾値から逆算しても合理的です。

一方で:若年でタンパク十分なら追加効果は不確か

同じ話を反対側から見る必要もあります。包括的な最新レビュー(Wilkinson 2023)では、若くて日頃のタンパク質量が足りている人は、ロイシンやBCAAを追加しても筋肥大の上乗せは期待しにくいと整理されています。

言い換えると、ロイシン3gの閾値は「タンパク質摂取が足りない瞬間」を埋める意味合いが強いということ。毎食しっかり肉・魚・卵・プロテインを摂れている若年者は、BCAAで追加する優先度は高くありません。

BCAAのカロリーは?|「太る?」への定量回答

「BCAAって毎日飲んだら太らないの?」という質問をクライアントから数え切れないほど受けてきました。答えは簡潔で、少量なら現実的な影響は小さいです。具体的な数字で確認します。

BCAAは1gあたり4kcal

BCAAはアミノ酸、つまりタンパク質の一部です。1gあたり4kcalで、これはタンパク質・糖質と同じです。脂質(1gあたり9kcal)よりは低いですが、決してゼロカロリーではありません。

主要製品の1食分カロリー

  • BCAA 5g:約20kcal(おにぎり半分の1/10未満)
  • BCAA 10g:約40kcal
  • BCAA 20g:約80kcal(バナナ1本の半分程度)

1日10g前後なら、全体のカロリー収支にほぼ影響しません。減量中でも気にする必要はほぼない範囲です。

ホエイプロテイン1杯との比較

飲み物 1食の量 カロリー目安 含まれるBCAA
BCAAサプリ 5g 約20kcal 5g
BCAAサプリ 10g 約40kcal 10g
ホエイプロテイン 25g(タンパク質20g) 約100kcal 約5〜6g

ここで分かるのは、ホエイプロテイン1杯にはすでにBCAAが約5〜6g入っているという事実です。プロテインを飲んでいる人のBCAA計算は、次のH2で詳しく扱います。

甘味料・糖質入り製品の注意点

市販のBCAAは味をよくするため、ほぼ必ずフレーバーがついています。ここで注意が必要です。

  • 人工甘味料(スクラロース・アセスルファムKなど):カロリーはほぼゼロ、減量中も安心
  • 糖質入り製品(マルトデキストリンなど):トレ中のエネルギー補給には便利、減量中は避けたい

パッケージの栄養成分表示で「炭水化物」の欄を見ると判別できます。減量中なら人工甘味料タイプを選ぶのが無難です。

プロテインを飲んでいる人のBCAA計算|重複しないための足し算

BCAAの量を決めるとき、多くの人が見落とすのがプロテインからのBCAA摂取分です。プロテインを1杯飲んでいる時点で、すでにBCAAを5〜6g摂取していることになります。ここを無視して「さらにBCAAを15g」と足すと、あっという間にISSNの目安を超えます。

ホエイプロテイン25gには約5〜6gのBCAA

包括的な最新レビュー(Kaspy 2024)でも、完全タンパク質源の中にBCAAが豊富に含まれている事実が強調されています。市販のホエイプロテイン(1食25g、タンパク質20g換算)には、BCAAが約5〜6g含まれるのが一般的です。

つまりホエイプロテインを1日2杯飲んでいる人は、BCAAを食事以外ですでに10〜12g摂っていることになります。

「プロテイン1杯=BCAA 5g追加済み」の足し算

  • プロテイン1杯+BCAA 5g:実質10〜11g/1日
  • プロテイン2杯+BCAA 5g:実質15〜17g/1日 → ISSN目安の上限に近い
  • プロテイン2杯+BCAA 10g:実質20〜22g/1日 → 目安超え、効果は頭打ち

普段からプロテインを2杯以上飲んでいる人は、BCAAを追加で足すメリットが小さくなります。「とにかく量を増やせば効く」という発想が通用しない領域です。

BCAAサプリを追加する意味があるケース/ないケース

プロテインを飲んでいる人がBCAAサプリを追加する意味があるのは、次のような場面に限られます。

  • トレ中にお腹が重くなる:プロテインは消化に時間がかかるためトレ中には不向き、BCAAなら軽い
  • 減量末期でカロリーを極限まで削りたい:BCAAは1食20kcalで済む
  • 持久運動の中盤で疲労感を抑えたい:長時間運動中の吸収速度の速さを活かす

逆に「筋肥大が目的で、すでにプロテインを2杯飲んでいる」という人は、BCAAを追加しても大きな上乗せは期待しにくいのが現在の主流見解です。このあたりの「効く条件・効かない条件」は BCAAは意味ない?効果なし論への科学的回答と条件付き有効性を14論文で解説 で条件別に整理しています。

水の量と濃度|濃すぎると下痢するリスク

BCAAの副作用として意外と知られていないのが、濃い溶液で飲むとお腹が緩くなる現象です。1回量だけでなく「水に対する濃さ」を意識すると、トラブルを避けられます。

水500mlに5gが体感的に安全ライン

実用的な目安は、水500mlに対してBCAA 5gです。スポーツドリンクとほぼ同じ濃さになり、トレ中に飲んでも胃腸に負担がかかりません。私の指導現場でも、このあたりの濃度でお腹を下した会員はほぼゼロです。

濃すぎると腹がゆるくなる仕組み

アミノ酸サプリの副作用を包括的にまとめたレビュー(Holeček 2022)では、BCAAの副作用として下痢・腹部不快感が挙げられています。仕組みはシンプルで、アミノ酸を濃く溶かすと飲み物の浸透圧が高くなり、腸管が水分を引き込んでお腹が緩くなるからです。

具体的な目安は次の通りです。

  • 水200ml+BCAA 10g以上:かなり濃い、下痢リスク大
  • 水300ml+BCAA 5〜7g:やや濃いめ、胃腸が弱い人は注意
  • 水500ml+BCAA 5g:スポーツドリンク相当、安全圏
  • 水750ml〜1L+BCAA 5〜10g:薄めで長時間運動向け

トレ中はちびちび飲む、一気飲みは避ける

一気飲みすると、短時間で高濃度のアミノ酸が腸に届きます。トレ中は10〜15分おきに少しずつ飲むのが理想です。大きめのシェイカーに500ml×5gで作り、セット間に一口ずつ飲むスタイルが定番です。

検証のため、一度BCAAを1日40gまで増やしてみたことがあります。3日目から見事にお腹を下しました。原因は明らかに濃度の高い飲み方で、200mlの水に20gを溶かして一気飲みしていたのが最大のミス。今は水500mlに5g溶かしてトレ中にちびちび飲む形に落ち着いています。「多く飲めば効く」ではなく、「飲み方の濃度」が大事だと実感した経験です。

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過剰摂取の境界線|1日何gまでなら安全か

健康な人にとってBCAAは比較的安全なサプリですが、上限のない栄養素ではありません。過剰摂取の境界線と、用量を増やしたときに効果がどこまで伸びるかを整理します。

健常人の安全範囲は1日5〜20gが現実的

Holeček 2022のレビューを総合すると、健康な人が日常的に摂取する範囲として安全性が確認されているのは1日5〜20gが中心です。ISSNの推奨(Ferrando 2023)が「1日15〜18gで頭打ち」と整理していることとも整合します。

この範囲なら長期摂取(数か月〜年単位)でも、目立った有害事象の報告はほぼありません。

1日40gを超えると高アンモニア血症のリスク

Holeček 2022では、BCAAの過剰摂取で血中アンモニアが上昇する可能性が警告されています。アンモニアは肝臓で分解される老廃物で、上昇すると倦怠感・頭がぼんやりするなどの症状が出ます。

人体実験としての明確な上限値は示されていませんが、1日40gを超える量を長期に飲むのは、効果が頭打ちしているうえにリスクが上がる不利な取り方です。特別な理由がないなら避けたい量です。

過去に「飲めば飲むほど効くのでは」と試しに1日40gまで増やした時期がありました。3日目あたりから頭が重く、妙な倦怠感が抜けない感覚がありました。当時は原因が分かりませんでしたが、今思えば高アンモニア血症の初期症状と濃度による胃腸不調が重なっていた可能性が高いです。正直な話、多く飲んでも体感はよくならないというのが12年続けた結論です。

フィット

用量と効果はどこまで比例するか

2024年のメタ分析(Salem 2024)では、用量が多いほど・摂取期間が長いほど筋肉痛軽減効果が大きくなる傾向(用量反応性)が確認されました。ただし「多ければ多いほどよい」わけではなく、被験者体重1kgあたり255mgを超えるような高用量での効果はまだ不確かとする報告(Weber 2021)もあります。

体重60kgの人で255mg/kg×60kg=約15gが目安。ISSNの「15〜18gで頭打ち」「15g目安」という数字と、別の研究から独立して似た値が導かれていることになります。

肝機能・腎機能に問題がある方は必ず主治医相談

BCAAは肝臓でアンモニアの代謝に関わるため、肝硬変・腎機能低下・アミノ酸代謝異常症の方は慎重な対応が必要です。一般向けのサプリとしての目安と、医療下での処方は前提が違います。該当する方は必ず主治医に相談してください。

肝・腎以外にも、ALS・MSUD(メープルシロップ尿症)・2型糖尿病・妊娠授乳中・18歳未満など、避けるべき人・注意が必要な人の詳しい一覧は BCAAとは?効果・飲み方・量・タイミング・副作用の完全ガイド の副作用セクションで整理しています。

タイプ別の量の目安|減量・増量・持久系

ここまでの数字を、タイプ別の1日合計量と1回量に落とし込みます。自分に近いタイプを参考にしてください。なお時間帯(運動前・中・後・就寝前など)の使い分けは本記事では扱わず、 BCAAはいつ飲む?運動前30分が最優先、シーン別の優先順位を整理 で整理しています。本記事はあくまで「1日何g、1回何g」という量の設計に絞ります。

減量中の女性(体重45〜55kg):1日合計10〜15g

減量中の女性で筋肉を守りたい場合、1日合計10〜15gが現実的なラインです。Shimomura 2010の女性12名を対象にした比較試験は体重1kgあたり100mgで筋肉痛軽減を確認しており、体重50kgなら1回5gが根拠となる量です。

  • 1回量:5g
  • 1日の回数:2〜3回に分割
  • 濃度の目安:水500mlに対してBCAA 5g

プロテインで胃もたれする方にとって、BCAAは現実的な選択肢です。

増量中の男性(体重70〜80kg):プロテイン優先、BCAAは追加で1回5〜10g

増量中で筋肥大が目的なら、プロテインを最優先にしてください。Wilkinson 2023が整理したように、タンパク質が十分な若年男性ではBCAA追加の上乗せは限定的です。

それでもBCAAサプリを使いたい場合は、1回5〜10gを目安にしてください。プロテイン2杯(BCAA換算で約10〜12g)+BCAAサプリ5gなら、実質BCAA量は1日15〜17g相当で、ISSNの目安内に収まります。

マラソン・ロングライド愛好者:1回5〜10gを1〜2回

60分を超える持久運動では、運動中の主観的な疲労感を抑える目的でBCAAを使う場面があります。Blomstrand 2006が整理した中枢性疲労の仮説に基づくもので、1回5〜10gを運動全体で1〜2回、合計10〜20g以内に収めるのが実用的です。

  • ハーフマラソン(90分前後):1回5gを単発で
  • フルマラソン・ロングライド:2〜3gの小分け補給を数回、合計10〜15g
  • 同時に糖質・水分・ナトリウムの補給もセットで考える

レース前の予防投与スケジュール(3〜7日前から)、レース中の10km毎タイムライン、実戦研究のポジティブ/ネガティブ両方のエビデンスは BCAAはランニングに効く?筋肉痛・疲労回復へのエビデンスを15研究で検証 で掘り下げています。

初心者:まずプロテインで体重1kgあたり1.6g確保が先

筋トレを始めたばかりの方は、サプリよりも食事とプロテインの土台作りが優先です。1日の総タンパク質を体重1kgあたり1.4〜2.0g確保できるようになってから、BCAAの導入を検討してください。先にBCAAだけ買っても、残り6種の必須アミノ酸が足りず、効果が出にくい構造だからです(タンパク質量別のBCAA追加価値は BCAAは意味ない?効果なし論への科学的回答と条件付き有効性を14論文で解説 の3ゾーン早見表で整理しています)。

よくある質問

Q. 1日の量を分割するのと1回でまとめて飲むのは、どちらが安全ですか?

安全性の観点では分割のほうが有利です。ISSNの目安(1回1.5〜3g)を大きく超える1回飲みは、水に対する濃度が高くなり下痢リスクが上がります(Holeček 2022)。1日合計15gなら1回5g×3回のように分けるほうが、胃腸の負担も濃度リスクも抑えられます。なお「どの時間帯に飲むか」という配分の設計は、 BCAAはいつ飲む?運動前30分が最優先、シーン別の優先順位を整理 で詳しく整理しています。

Q. 運動しない日も飲んだほうがいいですか?

必須ではありません。筋肉痛軽減や回復目的なら、運動しない日の摂取は不要です。ただし減量中で食事量がかなり少ない日や、外食続きでタンパク質が体重1kgあたり1.2gを切る日は、5g程度飲んでおくと筋肉維持の保険になります。

Q. 錠剤と粉末ではどちらが効率的?

吸収効率はほぼ同じです。違いは飲みやすさ・携帯性・コストです。粉末は1回量を自由に調整でき、コスパに優れますが溶かす手間と味の好みが分かれます。錠剤は移動中や出張先で便利ですが、5g摂るのに10粒前後必要な製品が多く、コスパは落ちがちです。生活スタイルで選ぶのが正解です。

Q. プロテインと一緒に飲む場合、BCAAを何g追加すればいいですか?

量の観点では、追加量を控えめにするのが正解です。Kaspy 2024でも指摘されているように、プロテイン1杯にはすでにBCAAが約5〜6g含まれているため、さらに10g以上足すとISSNの目安(1日15〜18gで頭打ち)をあっさり超えます。追加するならプロテイン1杯に対してBCAAは多くても5g程度に抑えるのが現実的です。

Q. BCAAで「太った」という声がありますが本当ですか?

BCAA単体のカロリーが原因で太ることは、ほぼありません。1日10gで約40kcalです。「太った」と感じる場合、原因は次の3つのどれかです。

  • 糖質入り製品を大量に飲んでいる(マルトデキストリンなどの炭水化物)
  • 甘い味で食欲が刺激され、食事量が増えている
  • 減量中に「飲んだから大丈夫」と気が緩み、カロリー過多になっている

パッケージの栄養成分表示を確認し、人工甘味料タイプを選べば物理的なカロリー面はほぼ無視できます。

Q. 女性の体格でも男性と同じ量で大丈夫?

基本的に体重1kgあたりで計算するのが正解です。体重50kgの女性がいきなり1日15g飲むのは、標準体型の男性換算で24g相当になり多すぎます。早見表の「運動時(100mg/kg)」または「回復目的(0.087g/kg)」の列を基準に、1回5g・1日5〜10gから試すのが安全です。Shimomura 2010は女性対象で体重1kgあたり100mgの有効性を示しており、女性の体格でも低用量で効果が出ることが確認されています。

まとめ|「自分の体重×目的」で量を決める

  • 基本の目安は1回1.5〜3g、1日15g以内:ISSNの2023年公式見解(Ferrando 2023)で15〜18gあたりが効果の頭打ちライン
  • 運動する人は体重1kgあたり100mg:体重50kgで5g、70kgで7g、Shimomura 2010の女性12名を対象にした比較試験で有効性確認
  • 減量中は体重1kgあたり0.4gまで上乗せ可:Dudgeon 2016で1日28gが除脂肪量維持と筋力向上を報告、短期限定
  • ロイシン2.5〜3gが合成スイッチ:Witard 2014・Zaromskyte 2021の閾値、BCAA 5〜6g(2:1:1比率)でクリア
  • プロテイン1杯=BCAA 5〜6g追加済み:Kaspy 2024、プロテインを飲んでいる人は重複計算を忘れずに
  • 水500mlに5gが安全ライン:濃いとHoleček 2022が指摘する下痢・腹部不快感のリスク
  • 40g超の高用量は効果不確か+リスク増:Weber 2021で255mg/kg超は効果不明、高アンモニア血症の可能性
  • タンパク質十分な若年は追加効果が乏しい:Wilkinson 2023、まずプロテインで体重1kgあたり1.4〜2.0g確保が先

摂取量を決める軸はシンプルです。「自分の体重(kg)」と「目的(健康維持/運動/回復/減量)」の2つを早見表に当てはめ、プロテインから摂れている分を引き算するだけ。感覚で「多めに」「少なめに」を繰り返すより、自分の数字を持っておくほうが長く続きます。

【次に読むべきおすすめ記事】

摂取量の基準が定まったら、効く条件や他サプリとの比較も押さえておきましょう。

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参考文献

この記事の内容も、数千件のフィットネス論文を人の手で一つずつ読み解いた研究データベースに基づいています。同じデータベースを直接検索できる「FitOnline Lab」なら、あなた自身の気になるテーマも調べられます。

  1. Ferrando AA, Wolfe RR, Hirsch KR, Church DD, Kviatkovsky SA, Roberts MD, Stout JR, Gonzalez DE, Sowinski RJ, Kreider RB, Kerksick CM, Burd NA, Pasiakos SM, Ormsbee MJ, Arent SM, Arciero PJ, Campbell BI, VanDusseldorp TA, Jager R, Willoughby DS, Kalman DS, Antonio J. International Society of Sports Nutrition Position Stand: Effects of essential amino acid supplementation on exercise and performance. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2023;20(1):2263409.
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  2. Shimomura Y, Inaguma A, Watanabe S, Yamamoto Y, Muramatsu Y, Bajotto G, Sato J, Shimomura N, Kobayashi H, Mawatari K. Branched-chain amino acid supplementation before squat exercise and delayed-onset muscle soreness. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. 2010;20(3):236-244.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20601741/
  3. Waldron M, Whelan K, Jeffries O, Burt D, Howe L, Patterson SD. The effects of acute branched-chain amino acid supplementation on recovery from a single bout of hypertrophy exercise in resistance-trained athletes. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism. 2017;42(6):630-636.
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