ジャイアントセットとは?基本から実践まで徹底解説

ジャイアントセットとは?基本から実践まで徹底解説

いつものメニューでは物足りない、もっとパンプ感を味わいたい、刺激を変えてマンネリを解消したい——そんなトレーニーに試してほしいのが「ジャイアントセット」です。4種目以上のエクササイズを休憩を挟まず連続で行うこの技法は、休憩なしで筋肉に負荷をかけ続けることで強烈なパンプをもたらし、Demirtaşらの研究(2022)によると筋肥大や筋力向上にも効果があることが示されています。本記事では、ジャイアントセットの基本から実践方法、注意点まで、参考文献の知見に加え、パーソナルトレーナーとして活動してきた経験を交えて解説します。

※ジャイアントセットを行う際は、利用するジムのルールやマナーを守り、他の利用者の方に配慮してトレーニングを行いましょう。

ジャイアントセットの基本とは?定義と仕組み

ジャイアントセットとは、同一または関連する筋群を狙った4種目以上のエクササイズを、種目間の休憩を極力おかずに連続で行うトレーニング法です。Schoenfeld(2011)のレビューによれば、筋肥大を最大化する専門的トレーニング技法のひとつとして位置づけられており、代謝ストレスや機械的張力の増大といった効果が期待できます。

通常のセットとの違い

通常のトレーニングでは、1種目を1セット行ったあと1〜2分の休憩を挟み、次のセットへ移ります。一方ジャイアントセットでは、4種目以上をほぼ休憩なしで連続実行するため、筋肉にかかる「時間 under tension(緊張時間)」が大幅に延長されます。この持続的な負荷が、筋肥大のメカニズムの一つである代謝ストレスの蓄積につながります。

スーパーセット・トライセットとの比較

  • スーパーセット:2種目を連続で行う
  • トライセット:3種目を連続で行う
  • ジャイアントセット:4種目以上を連続で行う

Brentanoら(2017)の研究では、同一筋群をまとめて鍛える「グループ化したセット」が、筋群を分けて行う従来型の構成よりも、筋活動(EMG)と筋損傷マーカー(CK)が有意に高かったと報告されています。ジャイアントセットは、この「同一筋群の連続刺激」をより極端にした形といえるでしょう。

歴史と科学的背景

ジャイアントセットは、ボディビルダーであり「ボディビルの父」とも称されるジョー・ワイダー(Joe Weider)が、ワイダー原則のひとつとして50年以上前に体系化したもので、その著書(Weider, 1981)に詳しく記されています。当初はトップアスリートの間で使われていましたが、近年の研究によってその効果が科学的にも裏付けられるようになってきました。

Demirtaşら(2022)は、若い男性アスリートを対象に、修正版ドイツ式ボリュームトレーニング(MGVT)、スーパーセット、ジャイアントセットを6週間比較しました。その結果、3つの方法の間で筋肥大(大胸筋・三角筋・広背筋の断面積・筋厚)や筋力(ベンチプレス・バーベルロウ・ショルダープレス)に有意な差はなく、いずれも有意な改善が認められたと報告しています。つまり、一貫して適切なボリュームをかけることが、特定のセット構成の違い以上に重要だという示唆が得られています。

ジャイアントセットの5つのメリット

  1. 短時間で高ボリュームトレーニング:休憩を極力減らすことで、同じ時間内により多くのセットと種目を消化できます。Hackettら(2018)の修正版GVT研究によると、高ボリュームトレーニングが筋肥大・筋力に寄与することが示されています。
  2. 筋肉のパンプと血流促進:休憩なしで連続して行うことで血流が制限され、乳酸や水素イオンの蓄積による「パンプ」が生じやすくなります。これは筋肥大のシグナル経路を活性化する要因のひとつと考えられています。
  3. 代謝負荷のアップ:Brentanoら(2017)が示したように、同一筋群をまとめて刺激することで代謝負荷が高まり、筋活動・筋損傷が増大します。結果として、トレーニング後の回復と適応に寄与する可能性があります。
  4. メンタル負荷と集中力の強化:連続で複数種目をこなすには、集中力と忍耐力が必要です。その分、トレーニングの「質」を高めるきっかけにもなります。
  5. マンネリ解消と刺激の変化:いつものトレーニングに変化をつけたいとき、ジャイアントセットは刺激の切り替えとして有効です。

どんな人におすすめか

ジャイアントセットは、以下ような方におすすめです。

  • トレーニング時間が限られている方
  • 中級以上で、従来のメニューに飽きや停滞を感じている方
  • パンプや代謝負荷を高めたい方

Demirtaşらの研究対象者は「適応期間を終えたが、レジスタンストレーニングの経験が浅い」若年男性でした。そのため、完全な初心者ではなく、基礎的なフォームと負荷に慣れた段階で導入するのが安全だと考えられます。

ジャイアントセットの基本的な組み方

基本的なルールは以下のとおりです。

  • 種目数:4種目以上を1ブロックとする
  • 休憩:種目間は15〜30秒程度、ブロック間は90〜180秒程度
  • 重量:通常より20〜30%軽めに設定し、フォームの崩れを防ぐ
  • 回数:8〜15レップ程度が目安
  • 構成:コンパウンド(複合)種目→アイソレーション(単関節)種目の順が効果的

Brentanoらの研究によると、複合種目を先に行い、続けて同一筋群の単関節種目を行う構成で、筋活動と筋損傷がより高くなることが示されています。そのため、まずコンパウンド、その後アイソレーションという流れを意識するのがよいでしょう。

ジャイアントセットメニュー例

ここでは、ジャイアントセットの具体的なメニュー例を紹介します。「同一筋群を狙うメニュー」と「拮抗筋を意識したメニュー」の2種類があり、目的やトレーニング環境に応じて選ぶとよいでしょう。

同一筋群を狙うメニュー

胸(プッシュアップ系4種目)

①インクラインダンベルプレス → ②フラットベンチプレス → ③インクラインダンベルフライ → ④ケーブルフライ(各8〜12レップ、種目間15秒休憩)

背中(プル系4種目)

①ワイドグリップ懸垂 → ②バーベルロウ → ③ワンハンドダンベルロウ → ④フェイスプル(各8〜12レップ)

脚(スクワット系4種目)

①レッグプレス → ②ハックスクワット → ③レッグエクステンション → ④レッグカール(各10〜15レップ)

肩(プレス・レイズ系4種目)

①ミリタリープレス → ②ダンベルショルダープレス → ③サイドレイズ → ④リアデルトフライ(各8〜12レップ)

腕(バイセップ・トライセップ4種目)

①バーベルカール → ②ハンマーカール → ③トライセッププッシュダウン → ④キックバック(各10〜15レップ)

拮抗筋を意識したメニュー

拮抗筋(反対の動きをする筋肉)を交互に刺激する構成では、一方の筋群が働くあいだにもう一方が休むため、疲労を分散しつつ高ボリュームを実現できます。

胸・背中(プッシュ・プル4種目)

①ベンチプレス → ②バーベルロウ → ③インクラインダンベルフライ → ④ラットプルダウン(各8〜12レップ)

腕(バイセップ・トライセップ交互4種目)

①バーベルカール → ②トライセッププッシュダウン → ③ハンマーカール → ④オーバーヘッドエクステンション(各10〜15レップ)

脚(大腿四頭筋・ハムストリングス交互4種目)

①レッグエクステンション → ②レッグカール → ③レッグプレス → ④ルーマニアンデッドリフト(各10〜15レップ)

ジャイアントセットを行う際の注意点

Brentanoら(2017)の研究では、同一筋群を連続で鍛えるグループ化したセットを行った場合、5日間では十分な回復が得られなかったとされています。ジャイアントセットは筋損傷が大きくなりやすいため、以下の点に気をつけてください。

  • ウォーミングアップを十分に行う
  • 同じ部位のトレーニング頻度は週1〜2回に抑える
  • フォームが崩れたら重量を下げる
  • 十分な睡眠と栄養摂取で回復を促す

また、日本の大手ジムでは、ジャイアントセットのように複数のマシンを占領して行うトレーニングが禁止されている場合があります。施設のルールを事前に確認し、混雑時を避けるか、自宅やプライベートジムで行うなどの工夫を検討しましょう。

パーソナルトレーニングとの相性

ジャイアントセットは、経験を重ねたトレーニーだけでなく、パーソナルトレーニングとの相性が良いトレーニング法でもあります。以下、その理由を整理します。

  • 個室での実施:パーソナルジムは個室が多いため、一般的なジムと異なり他者への配慮をあまり気にせず、4種目を連続で行うことができます。複数マシンを占有する不安を感じる必要がありません。
  • マルチラック(オールインワンラック)の活用:パーソナルジムにはマルチラックを設置している施設が多く、1台で複数の種目をこなせます。そのため、種目構成が作りやすく、ジャイアントセットを組み込みやすい環境です。
  • セッション時間の効率化:パーソナルトレーニングは1セッションあたりの時間が限られているため、休憩を最小限にして密度を高めるジャイアントセットは、時間効率を上げやすいトレーニング法の一つです。
  • トレーナーのサポート:種目チェンジ時に器具の準備や片付け、補助をトレーナーに任せられるため、休憩なしでスムーズに種目を切り替えやすく、フォームの崩れも防ぎやすくなります。

私自身、パーソナルトレーニングでジャイアントセットを取り入れた経験がありますが、マルチラックがある環境では種目を次々と切り替えられるため、クライアントからも「いつもよりパンプ感が強かった」「刺激が違って良かった」といった声を多くいただきました。大手ジムでは複数マシンの占有が難しく諦めていた方も、パーソナルやレンタルジムであれば思い切って試せるのではないかと感じています。

フィット

大手ジムでの実施が難しい場合や、効率よく追い込みたい場合は、パーソナルトレーニングでジャイアントセットを試す選択肢も検討してみてください。

一方、パーソナルジムに行くほどでもないという場合は、ご自身でレンタルジムを借りて、いつもと違う刺激としてジャイアントセットを導入するのもひとつの手です。個室利用であれば他者への配慮も少なくて済み、マンネリ解消や新しい刺激を求めている方に適した方法といえるでしょう。

まとめ:ジャイアントセットで停滞を乗り越える

ジャイアントセットは、ワイダーが50年以上前に体系化したトレーニング技法であり、近年の研究でも筋肥大・筋力向上に効果があることが示されています。同一筋群を連続で刺激することで代謝負荷と筋活動を高め、短時間で高ボリュームを実現できる一方、筋損傷が大きいため回復期間の確保が重要です。トレーニングのマンネリや停滞を感じている方は、今回紹介した方法を参考に、週1回程度から試してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. Demirtaş B, Çetin O, Çakır E, Beyleroğlu M. The effect of three different sets method used in resistance training on hypertrophy and maximal strength changes. Physical Education of Students. 2022;26(6):270-9.
    https://doi.org/10.15561/20755279.2022.0601
  2. Brentano MA, Umpierre D, Santos LP, et al. Muscle damage and muscle activity induced by strength training super-sets in physically active men. J Strength Cond Res. 2017;31(7):1847-1858.
    https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000001511
  3. Schoenfeld BJ. The use of specialized training techniques to maximize muscle hypertrophy. Strength Cond J. 2011;33(4):60-65.
    https://doi.org/10.1519/SSC.0b013e3182221ec2
  4. Hackett DA, Amirthalingam T, Mitchell L, et al. Effects of a 12-week modified German volume training program on muscle strength and hypertrophy—a pilot study. Sports. 2018;6(1):7.
    https://doi.org/10.3390/sports6010007
  5. Weider J. The Weider System of Bodybuilding. Joe Weider Publications; 1981.
    (ジョー・ワイダーによるワイダー原則・ジャイアントセットの歴史的起源)

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