コンセントリック収縮とは?意味・メリット・トレーニングでの活かし方

コンセントリック収縮とは?意味・メリット・トレーニングでの活かし方

筋トレやリハビリの解説でよく耳にする「コンセントリック収縮」。聞いたことはあるけれど、いまいちピンとこないという方も多いのではないでしょうか。コンセントリック収縮は、筋肉が力を出しながら「短く縮む」局面を指し、ベンチプレスのバーを押し上げる、スクワットで立ち上がるといった動きに含まれます。本記事では、コンセントリック収縮の意味から、エキセントリック・等尺性との違い、研究でわかっているメリットや筋肥大との関係、代表種目での局面、そしてトレーニングへの活かし方まで、論文の知見を交えながら解説します。

コンセントリック収縮とは?筋肉が「短くなりながら力が出る」動き

コンセントリック収縮(concentric contraction)とは、筋肉が力を発揮しながら長さが短くなっていく収縮のことです。筋繊維が短縮するため「短縮性収縮」とも呼ばれます。重りや自分の体重に逆らいながら「押す・引く・持ち上げる」といった、動作を起こす局面で働いており、筋トレでは「上げ」のフェーズに当たります。

日常生活・スポーツでの例

身近な例としては、物を持ち上げる(ペットボトルをテーブルから取る)、階段を上る(腿の前の筋肉が短縮して膝を伸ばす)、腕立て伏せで体を持ち上げるジャンプの蹴り出し(ふくらはぎや大腿四頭筋が短縮して地面を蹴る)などがコンセントリック収縮です。どれも「筋肉が縮みながら力を出して、何かを動かしている」局面だと考えると理解しやすくなります。

エキセントリック・等尺性との違い|3種類の筋収縮を整理

筋収縮は、筋肉の長さがどう変化するかで大きく3つに分けられます。

  • コンセントリック(短縮性):力を出しながら筋肉が短くなる。例=バーベルを押し上げる。
  • エキセントリック(伸張性):力を出しながら筋肉が伸ばされる。例=バーベルをゆっくり下ろす。
  • 等尺性(アイソメトリック):力を出しているが筋肉の長さはほぼ変わらない。例=壁を押し続ける、プランクで静止。

通常のレップでは、下ろす局面でエキセントリック、上げる局面でコンセントリックが働いており、1回の反復に両方が含まれています。

コンセントリック・エクセントリック・イソメトリックの比較

コンセントリックとエキセントリック、どちらが力が出る?

同じ筋肉・同じ関節角度でも、エキセントリックの方が大きな力を発揮できることが知られています。Nuzzoら(2023)のメタ分析では、12,546人・335研究を統合した結果、エキセントリック筋力はコンセントリック筋力の約1.41倍(約40%強)という結果でした。年齢では高齢者でその差が大きくなり(比1.62)、若年者では1.39程度です。つまり、コンセントリックは「相対的に出せる力が小さい局面」であり、重さを決めるときは「上げ」で限界が来ることを想定して重量設定すると安全です。

コンセントリック収縮のメリット|筋力・パフォーマンス・筋肥大との関係

コンセントリック収縮は、筋力向上やパフォーマンス向上に欠かせない局面です。実際のスポーツや日常生活では「押す・引く・持ち上げる」といった動作の多くがコンセントリックであり、この局面を強化することで挙上重量の向上や動きのスピード・パワー向上が期待できます。また、「上げ」の動きは意識しやすく、初心者でも「ここで力を入れる」と理解しやすいという利点があります。

筋肥大への貢献

筋肥大については、コンセントリックだけとエキセントリックだけを比べたメタ分析が複数あります。Schoenfeldら(2017)は15本のRCTを統合し、エキセントリックの方が平均変化率でやや大きい傾向(エキセントリック約10%、コンセントリック約6.8%)だったものの、統計的有意差には至らず、両方とも筋肥大に有効であり、筋肥大を目的とするプログラムには両方を含めるべきだと結論づけています。さらにda Silva Lopesら(2025)の26研究・682名を対象としたメタ分析では、全体としてはコンセントリックとエキセントリックで筋肥大に有意差はなく、どちらも有効であることが支持されています。一方、上肢に限った解析や短期(8週以下)の介入ではエキセントリック優位の結果も報告されているため、目的に応じて両方を組み合わせるのが合理的です。

この局面がコンセントリック!代表種目で確認

種目ごとに「どの局面がコンセントリックか」を押さえておくと、意識してトレーニングしやすくなります。ここでは代表的な種目を部位別に整理します。

  • スクワット(大腿四頭筋・臀筋)
    しゃがんだ状態から立ち上がる局面がコンセントリックで、大腿四頭筋や臀筋が短縮して膝・股関節を伸ばします。
  • レッグプレス(大腿四頭筋・臀筋)
    シートを押し出して膝を伸ばす局面がコンセントリックです。
  • レッグエクステンション(大腿四頭筋)
    膝を伸ばして重りを上げる局面がコンセントリックです。
  • ランジ(大腿四頭筋・臀筋)
    前や横に踏み出した脚で床を押して体を持ち上げる局面がコンセントリックです。
  • ゴブレットスクワット(大腿四頭筋・臀筋)
    しゃがんだ状態から立ち上がる局面がコンセントリックです。
  • レッグカール(ハムストリング)
    膝を曲げてかかとをお尻に近づける局面がコンセントリックです。
  • デッドリフト(ハムストリング・臀筋・脊柱起立筋)
    バーベルを膝・股関節を伸ばして引き上げる局面がコンセントリックです。
  • ルーマニアンデッドリフト(ハムストリング・臀筋・脊柱起立筋)
    前傾した上体を起こしてバーを引き上げる局面がコンセントリックです。
  • ノルディックハムストリング(ハムストリング)
    前傾した体を腕やハムの力で起こす局面がコンセントリックです。
  • カーフレイズ(腓腹筋・ヒラメ筋)
    かかとを上げてつま先立ちになる局面がコンセントリックです。
  • シーテッドカーフレイズ(腓腹筋・ヒラメ筋)
    重りに逆らって足関節を底屈(つま先を伸ばす)するフェーズがコンセントリックです。
  • ベンチプレス(大胸筋・上腕三頭筋)
    バーを胸から押し上げて肘を伸ばす局面がコンセントリックです。
  • プッシュアップ(腕立て伏せ)(大胸筋・上腕三頭筋)
    体を床から押し上げる局面がコンセントリックです。
  • インクラインベンチプレス(大胸筋・上腕三頭筋)
    上胸を意識してバーを押し上げる局面がコンセントリックです。
  • ダンベルフライ(大胸筋)
    腕を開いた状態から胸の前で閉じる(ダンベルを持ち上げる)局面がコンセントリックです。
  • ショルダープレス(三角筋・上腕三頭筋)
    バーやダンベルを頭上に押し上げる局面がコンセントリックです。
  • マシンショルダープレス(三角筋・上腕三頭筋)
    ハンドルを頭上に押し上げる局面がコンセントリックです。
  • サイドレイズ(三角筋)
    腕を体の横に上げる局面がコンセントリックです。
  • フロントレイズ(三角筋)
    腕を前に上げる局面がコンセントリックです。
  • ダンベルフレンチプレス(上腕三頭筋)
    肘を曲げた状態から頭上へダンベルを押し上げる局面がコンセントリックです。
  • トライセプスプッシュダウン(上腕三頭筋)
    肘を伸ばして重りを持ち上げる局面がコンセントリックです。
  • キックバック(上腕三頭筋)
    肘を伸ばしてダンベルを持ち上げる局面がコンセントリックです。
  • チンニング(懸垂)(広背筋・上腕二頭筋)
    体をバーに引き上げる局面がコンセントリックです。
  • ラットプル(ラットプルダウン)(広背筋)
    バーを胸に引き寄せる局面がコンセントリックです。
  • ベントオーバーロウ(広背筋・僧帽筋)
    前傾した状態からバーやダンベルをみぞおち付近に引き寄せる局面がコンセントリックです。
  • フェイスプル(三角筋後部・僧帽筋)
    ロープやバーを顔の横に引き寄せる局面がコンセントリックです。
  • ダンベルカール(上腕二頭筋)
    肘を曲げてダンベルを肩に近づける局面がコンセントリックです。
  • インクラインダンベルカール(上腕二頭筋)
    ベンチを斜めにした状態でダンベルを上げる局面がコンセントリックです。
  • バーベルカール(上腕二頭筋)
    肘を曲げてバーを肩に近づける局面がコンセントリックです。
  • ハンマーカール(上腕二頭筋・上腕筋)
    手の向きを縦にしたまま肘を曲げる局面がコンセントリックです。
  • プリーチャーカール(上腕二頭筋)
    台に肘を乗せ、バーやダンベルを肩に近づける局面がコンセントリックです。

コンセントリックを意識したトレーニングの考え方

コンセントリック収縮をどう扱うかは、目的(筋肥大・筋力・パワー・リハビリなど)によって変わります。ここでは代表的な考え方を3つ紹介します。

スピードを意識する(コンセントリックを爆発的に)

パワーやスピードを高めたい場合は、コンセントリック局面をできるだけ速く・爆発的に行う方法が有効です。重量はやや軽めにし、下ろすときはコントロールし、上げるときに一気に加速するイメージです。ジャンプ力や投げる・蹴るといった動作のスピード向上につながりやすくなります。

コンセントリックのみのトレーニング(チューブ・補助・マシン)

「上げ」だけ行い、エキセントリックを省略する方法もあります。チューブやマシンでコンセントリックのみを行う、またはパートナーに下ろす局面を補助してもらうなどです。関節の痛みで下ろす動作がつらい場合や、リハビリで負荷を絞りたい場合に選択肢になります。ただし、肘屈筋を対象にした研究(Satoら、2022)では、コンセントリックのみの群は筋厚の有意な増加がみられず(約2.5%)、コンセントリック+エキセントリック群(約10.6%)やエキセントリックのみ群(約9.7%)に比べて筋肥大が小さいという結果もあり、筋肥大を主目的にするなら両方を含める方が望ましいとされています。

エキセントリックとの組み合わせで効果を高める

通常のレップでは、1回ごとに「下ろす(エキセントリック)」と「上げる(コンセントリック)」の両方が含まれており、この組み合わせで筋力・筋肥大の両方に刺激を入れられます。研究でも、両方を含むトレーニングが筋肥大に有効であることが支持されています(Schoenfeldら、2017;da Silva Lopesら、2025)。さらに、下ろす局面をゆっくり行う(エキセントリックを強調する)ことで、同じ重量でも筋への負荷を高めることができます。コンセントリックを意識しつつ、エキセントリックも適度に取り入れるバランスがおすすめです。

コンセントリックトレーニングで気をつけたいこと

コンセントリックを活かすには、重量設定やエキセントリックとのバランス、体の状態に合わせた工夫が大切です。

重量が重すぎるとフォームが崩れやすい

先述の通り、同じ筋肉でもエキセントリックの方が大きな力を出せるため、コンセントリック局面は相対的に「弱い」フェーズです。重量を上げすぎると、下ろすときは何とかコントロールできても、上げるときにフォームが崩れたり、反動や代償動作が入りやすくなります。挙上限界に近い重量で行う場合は、補助をつけるか、コンセントリックでしっかりコントロールできる範囲で設定するのが安全です。

エキセントリックとのバランス

筋肥大や筋力向上を考えると、コンセントリックだけに偏りすぎず、エキセントリックも含めた通常のレップや、意図的に下ろす局面をゆっくり行う方法を取り入れると効果的です。研究でも、両方を含むトレーニングが推奨されています。コンセントリックのみのトレーニングは、痛みの軽減やリハビリなど、目的がはっきりしている場合の選択肢として考えましょう。

関節への負荷・痛みがある場合

関節に痛みや違和感がある場合は、可動域を狭くする(痛みの出ない範囲だけ動かす)、コンセントリックのみに限定する、マシンやチューブで負荷を調整するなどの工夫が有効です。無理に重い重量でフルレンジを追わず、痛みのない範囲でコンセントリックの「上げ」をしっかり行うことから始めるとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

コンセントリックとエキセントリック、どちらが筋肥大に効果的?

最新のメタ分析(da Silva Lopesら、2025)では、全体としては両者に有意な差はなく、どちらも筋肥大に有効とされています。Schoenfeldら(2017)でも、エキセントリックの方がやや効果が大きい傾向はあったものの有意差はなく、筋肥大を目指すなら両方を含めることが推奨されています。上肢のみや短期の介入ではエキセントリック優位の結果もあるため、「両方行う」のが無難です。

コンセントリックのみのトレーニングでも筋肉はつく?

コンセントリックのみでも筋力は向上しますが、筋肥大については注意が必要です。肘屈筋を対象にした研究(Satoら、2022)では、コンセントリックのみの群では筋厚の有意な増加が得られず、コンセントリック+エキセントリック群やエキセントリックのみ群に比べて筋肥大が小さいという結果でした。筋肥大を主目的にするなら、通常の「下ろす+上げる」の両方を含めるか、関節の状態に応じてエキセントリックを軽くするなどの工夫がおすすめです。

「上げ」のときだけ意識すればいい?

コンセントリック(「上げ」)の局面を意識することは有効ですが、下ろす局面(エキセントリック)を適切に使うと、同じ重量でも筋への負荷や筋肥大の効果を高められます。研究でも両方を含むトレーニングが推奨されているため、「上げ」をメインに意識しつつ、下ろすときもコントロールしてしっかり効かせるようにするとよいでしょう。

等尺性収縮(アイソメトリック)はいつ使う?

等尺性収縮は、筋肉の長さを変えずに力を出す収縮で、壁押しやプランク、特定の角度での静止などが該当します。関節を動かせない・動かしたくない場合(ギプス固定中、痛みで可動域が制限されている場合など)や、特定の角度での筋力強化、体幹の安定性を高めたいときに有効です。コンセントリック・エキセントリックと組み合わせて、目的に応じて取り入れるとよいでしょう。

まとめ|コンセントリック収縮を理解してトレーニングの質を上げる

コンセントリック収縮は、筋肉が短くなりながら力を出す「上げ」の局面に当たり、筋トレや日常生活の多くの動作に含まれています。エキセントリックの方が相対的に大きな力を出せるため、重量設定はコンセントリックでコントロールできる範囲にすることが安全です。筋肥大については、研究ではコンセントリックとエキセントリックの両方が有効とされ、両方を含むトレーニングが推奨されています。種目ごとに「どの局面がコンセントリックか」を意識し、目的に応じてスピードを変えたり、エキセントリックとのバランスを考えたりすることで、トレーニングの質を高めていきましょう。

参考文献

  1. da Silva Lopes L, et al. Comparison Between Eccentric vs. Concentric Muscle Actions On Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-analysis. J Strength Cond Res. 2025;39(1):115-134.
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  2. Schoenfeld BJ, Ogborn DI, Vigotsky AD, Franchi MV, Krieger JW. Hypertrophic Effects of Concentric vs. Eccentric Muscle Actions: A Systematic Review and Meta-analysis. J Strength Cond Res. 2017;31(9):2599-2608.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28486337/
  3. Nuzzo JL, Pinto MD, Nosaka K, Steele J. The Eccentric:Concentric Strength Ratio of Human Skeletal Muscle In Vivo: Meta-analysis of the Influences of Sex, Age, Joint Action, and Velocity. Sports Med. 2023;53(6):1125-1136.
    https://doi.org/10.1007/s40279-023-01851-y
  4. Sato S, Yoshida R, Kiyono R, et al. Comparison between concentric-only, eccentric-only, and concentric–eccentric resistance training of the elbow flexors for their effects on muscle strength and hypertrophy. Eur J Appl Physiol. 2022;122(12):2607-2616.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36107233/
  5. Douglas J, Pearson S, Ross A, McGuigan M. Chronic adaptations to eccentric training: a systematic review. Sports Med. 2017;47(5):917-941.
    https://doi.org/10.1007/s40279-016-0628-4

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